為替を動かすのは実需筋?投機筋?そもそもの違いは?

UPDATE:2022/10/12

 バイナリーオプション取引で主に利用される金融商品は『通貨ペア』ですが、これの動向を左右する売買には、大きく『実需筋』『投機筋』の2つの勢力が関係しています。

 先だっての為替介入の際、あるいはそれ以前、それ以降の口先介入は、一貫して『投機筋による過剰な値動きは好ましくない』というスタンスの元行われています。

為替介入は何をもって実行され、何を残したのか――バイナリーオプションへの影響は?

為替介入は何をもって実行され、何を残したのか――バイナリーオプションへの影響は?

 では、具体的に実需筋、投機筋とは何なのか。何故、投機筋による過剰な値動きが生じたのか。是正は可能なのか。見ていきたいと思います。

実需筋と投機筋

 バイナリーオプションのトレーダーは、実需筋と投機筋どちらでしょうか。これは考えるまでもなく『投機筋』です。同様に、FXトレーダーについても同様のことがいえます。

 投機筋とは、対象の売買によって短期的な利益を狙う取引勢力を指します。FXでは場合によっては、数年単位でポジションを保持し続けることもありますが、それでも『その売買取引で利益を狙う』という点から、実需筋にはなり得ません。

 では実需筋とは何なのか。これは読んで字の如し、必要に応じて保有する通貨で別の通貨を取引する勢力です。分かりやすいのは輸出入関連企業でしょうか。ドルでの取引利益で、国内の給与支払いなどのための円を購入したり、もっと単純な例でいえば、海外旅行のための両替だったり。とにかく通貨単位の価値で直接的な利を得ようとするのではなく、『必要だから取引する』のが実需筋です。

実需筋と投機筋の割合

 為替レートの決定には様々な要因が織り込まれますが、最終的には『両国間の国力の差』という点に収束します。この『様々な要因』によって、短期的に価格の上下を繰り返すのが為替レートであり、もし投機筋が存在しない場合、このような現象は限定的にしか生じないと予想されます。

 為替市場において、実需筋と投機筋の割合は2:8といわれています。すなわち、為替レートの決定を司る取引の大半は、投機筋によって行われているということです。

 1つの実需筋と1つの投機筋とを比較した場合、取引に用いる通貨量は実需筋のほうが多いであろうことは想像に難くありません。実際、金曜ゴトー日のアノマリーは、実需取引の肝となる仲値釣り上げのための円安傾向と、輸出入関連企業のドルの実需売りによる円高傾向とされています。実需筋の実需売りが無視できる量であるならば、このようなアノマリーは生まれません。

アノマリーでバイナリーオプションは攻略でき……ません!

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 しかしこういった行動は特定のタイミングでしか行われないため、通常は投機筋の思惑が強く反映されます。また、投機筋の中にも、利益追求型のヘッジファンドや機関投資家がいるため、両者が投入する金額は、総合的には投機筋のほうが多くなります。

投機筋が円を売り続けた理由

 その投機筋が、何故2022年に入って円を売り続けているのか。これは単純な話、金融緩和を盲目的に続ける日本と、金融引き締めに舵を切ったアメリカの政策の差、ひいては両国間の経済成長の差から、円よりもドルに価値があると判断されたからに過ぎません。

 これ自体は当たり前の行動です。過去、2008年に発生したリーマンショックではドル売りが繰り返され、約112円/ドルだった相場は、一時的に90円を割り込み、立ち直りが後手に回った米国経済は低迷、2011年には、76円/ドル弱にまで下落しています。

 つまるところ円安は起こるべくして起こったものであり、本来であるならば納得ずくのはずなのです。

 それを、値動きが一方向で過剰であるという。本当なのか。

2020年以降の米ドル円推移(週足)

 こちらは、2020年7月から2022年9月にいたるまでの週足チャートです。上の画像の赤ラインは、正確には2022年2月第2週と第3週の境目となっています。

 確かに、ほぼ一方的に円安方向へと、それもかなりの勢いで動いているのが分かります。では、何故このような事態となってしまっているのか。

 最大の要因は、主要国の中で唯一、日本が金融緩和を続けている点にあるでしょう。アメリカは2021年の12月頃から、欧州でも2022年2月後半頃から、近く利上げが行われると予測されていました。動きが素早い投機筋は、このタイミングですでに動いていたことと考えられます。

 そして実際に利上げが始まり、世界から取り残されて緩和を続ける日本の通貨『日本円』は、魅力的ではない通貨として、前例のない勢いで売られ続けていると見られます。

是正のための対策

 この流れを抑え込み、元来あるべき流動的な値動きに戻そうとして実施されたのが、2022年9月22日の『為替介入』でした。しかし結果的に、肝心の米ドル円での『過剰で一方的な値動き』は、2022年10月初頭現在、是正されていません。

 根本的には、この急激な円安を是正するためなら、日本が金利を上げるか、アメリカが金利を下げるかするより他に道はないでしょう。あるいはかつての震災規模の災害が日本を襲えばまた変わるのでしょうが、それを待つのはあまりにも不謹慎で不確実。

 日本が利上げを敢行する可能性はあるのでしょうか。これは、22日の黒田日銀総裁の発言「2、3年はない」というものによって、一時的には否定されています。日本経済新聞が報じたところでは、この返答は事務方の想定外だったとのことで、あるいはこのアドリブが、為替介入のスイッチを押させたのかも知れません。

 いずれにせよ、もし今利上げすれば、実感なき景気回復を脱却できないまま不景気へと転落する可能性があるため、利上げに踏み切るのは難しいでしょう。

 実感なき景気回復とはどういうことかというと、実は日本のGDPは、新型コロナウィルスで一時的に落ち込んだ2020年前後を除き、2011年からじわじわと右肩上がりで、その点では景気回復及び経済成長は進んでいるのです。

1980年~2022年のGDP推移

世界経済のネタ帳

 GDPの増加に伴い、年収そのものも、微量とはいえ上昇基調にあるようです。しかし物価の上昇が、それを上回ってしまっています。そのため、収入は増えたが支出はもっと増えたという状態となり、実体としては経済が成長していても、実感としては低迷しているままとなってしまっているのです。挙げ句消費税の増税などの影響により、むしろ不景気である印象が強まっています。

 実際問題として、現状利上げを行ってしまうと、銀行から借り入れを行っている企業や、変動金利の住宅ローンを組んでいる家庭に大打撃です。国全体に好景気であるという印象、そして実体としても十分に成長している状況にならない限り、安易に利上げには走れないのではないでしょうか。

為替介入は投機筋にチャンスを与えるだけ

 では再三にわたり為替介入を行えばいいのかというと、これはむしろ円安を加速させる恐れがあります。これは22日の介入時の値動きを見れば明らかです。

2022年9月22日為替介入のタイミング前後における1時間足チャート

 為替介入の前後を切り取った1時間足のチャートがこちらです。ご覧のとおり、一時的には140円台にまで一気に落ちたレートは、しかしあっという間に元の価格帯に戻り、145円を試す流れに収束しています。しばらくレンジ相場が続いていますが、いずれまた上を目指す可能性は大いにあります。

 もしもう一度介入を行ったとしても、それは単に押し目を作るだけで、他の通貨では起こった一時的な下降トレンドが形成されるとは思えません。

リセッションが起これば流れも変わる?

 では他の要因、2022年末に起こると予測されている世界規模のリセッションが起こった場合はどうなるか。

 リセッションとは一言でまとめるなら、景気後退のこと。今現在、大多数の国家がインフレの抑制のために利上げを行っていますが、これは同時に経済の成長を抑制する動きでもあります。

 利上げのデメリットであるリセッションが生じれば、唯一緩和路線の日本の経済が相対的に上がるという見方はありますが、果たして本当にそうでしょうか。

 実際にリセッションに至ったとして、アメリカが利下げに動くかどうかは別問題です。利上げの目的がインフレ抑制である以上、その目標が達成されない限りは政策転換が行われることはないでしょう。また、アメリカの経済が冷え込むということは、アメリカとの貿易への依存度が高い日本にとっても打撃となります。事実、リーマンショックの際には、金融機関のダメージは限定的でしたが、外資系や貿易関連企業はかなりの損害を被っています。

 資源に乏しく、大部分を諸外国に依存しなければならないのが、現状の日本の最大の弱点でしょう。故に世界経済の失速、後退は、日本にとって利点となるわけがありません。

まとめ

  • 為替の大部分は投機筋の思惑に従って動く
  • 過剰な円安進行は日本が唯一の金融緩和国だから?
  • 根本的な打開策は日本の金利上昇だが現状そう簡単には行えない

 このまま円安が進めば、スタグフレーションという最悪の結末を迎える可能性すらあります。数値的な経済力は上がっていても実体が伴わないため、事実上すでに日本はスタグフレーションに陥っているのではとする意見も聞かれます。

 ただ、バイナリーオプションのトレーダーにとっては、ある意味でこれはチャンスとも捉えられます。全体の流れが円安進行なら、下がったタイミングでコールオプションを取り続ければいいのですから。同様のことはFXにもいえます。

 ただ何もせずに物価上昇を甘んじて受けるくらいなら、バイナリーオプションで地道に稼いで少しでも生活を楽にしていきたいものです。

POST:2022/09/30

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