為替介入を警戒するに値する前提シグナルが見えてきたか

UPDATE:2022/12/21

 2022年10月25日現在正式に発表されたわけではありませんが、21日金曜日夜、24日月曜日早朝と相次いでドル円相場に急激な変動があり、大規模な為替介入が再び行われたのではないかといわれています。

為替介入は何をもって実行され、何を残したのか――バイナリーオプションへの影響は?

為替介入は何をもって実行され、何を残したのか――バイナリーオプションへの影響は?

 これより以前にも『この動きは介入があったのでは?』というタイミングはありましたが、上記2日における変動幅は4~5円と、9月に行われた介入と同程度となっており、いずれの場合も『円安方向に強い値動きが生じた直後』である点も共通しています。

 これらの介入は政府からの事前予告は当然なく、完全な予測は不可能です。FXならば、強制ロスカットされない限りは塩漬けして後々利益に転換させることも可能ですが、バイナリーオプションではそうもいきません。

 しかしながら、これまでの介入前の値動きを観察することで、現状における一定の法則は見えてきます。今後も介入が行われるかどうか、行われるとして同様のタイミングで仕掛けられるかどうかは不明瞭ではあるものの、『こんな状況下では介入の可能性がある』と把握しておくことで、損失機会を減らすことができますので、是非ご一読ください。

為替介入が行われる理由をおさらい

 まずしっかりと理解しておかなければならないのは、直近の為替介入が何故行われているのかという点です。

 一部メディアの報道では、『場当たり的な介入では現在の円安を是正することはできない』と否定的な立場が見られます。しかしこの文言は、そもそも為替介入の意味を理解していないと言わざるを得ません。

もし円安是正目的なら

 2022年10月25日現在、ドル円レートは149円弱と、最初の為替介入から約4円も、円安が進んでいます。この根本にあるものは、日米間の金融政策の違いから来るものであり、ファンダメンタルに従った動きといっていい代物です。

 故にこの円安を根本的に止めたいのなら、能動的には金融緩和の撤回、受動的には米国のインフレ抑制完了を待つより他ありません。あるいは米国のリセッション=経済的後退を待つという手もありますが、米国経済が落ち込めば、日本の経済にも大きな影響を及ぼすためこれは悪手でしょう。

曰く『過度な変動は容認できない』

 では、為替介入を行う理由はどこにあるのか。それは、常々岸田総理や鈴木財務相を始めとする政府要人が、常に口にしています。

 すなわち、『過度な変動は容認できない』

 2022年における為替介入はあくまでその都度の急変に対するカウンターであって、円安進行そのものを転換させようという思惑はないということは、容易に推測できます。

 実質的には円安を容認した黒田日銀総裁にしても、「急速な円安進行は日本経済にマイナス」と発言しています。

 ですので直近の為替介入は、あくまで、日本経済にとってマイナスとなる、投機筋による一方的すぎる値動きを、たとえ一時的にでも抑え込もうとしているだけで、円安そのものを悪として正そうとは誰も言っていないのです。

 その点だけは、絶対に履き違えてはいけません。

直近の介入を例に見る介入のタイミング

 では、これまでどのようなタイミングで為替介入、あるいは為替介入と思われる値動きが見られたでしょうか。また、バイナリーオプションにおいてオプションを購入する際に、どう気をつけたらいいでしょうか。

急激な変動とはどの程度か

 今回注目するのは、9月22日の介入、および10月21日と24日の急変前の値動きです。

9月22日の為替介入

 まずはこちらの9月22日における為替介入時の4時間足チャート。

10月21日及び24日の急変

 そしてこちらが、10月21日における急変動時の4時間足チャートです。

 為替介入、あるいは急変の直前のローソク足において、安値から1.5円近いの変動が発生したあとで、急落が生じています。24日における急落時も、画像では長いヒゲが生じたコマ型になっていますが、他のチャートツールなどでは、直前のローソク足から上に大きく窓を開けて現れているものもあります。

 このタイミングにおける指数平滑移動平均線は上から短期・中期・長期のパーフェクトオーダーとなっており、ボリンジャーバンドは+2σのバンドウォーク中、直前のローソク足に至っては、2σを超えて3σにまで到達しています。すなわち、強い上昇トレンドの発生を示しています。

 勿論、介入が行われなかったタイミングでも同様の値動きを示しているところはありましたので一概にはいえませんが、4時間足における安値から1.5円以上の値動きがあり、かつ上昇トレンドの只中である場合、為替介入の可能性が高まるため警戒が必要と考えられます。

これが絶対ではない

 では、4時間足で同様の状況が見られたら取引をしない、あるいはプットオプションを購入するなど短絡的に動けばいい、というわけではありません。

 おそらく為替介入はAIなどによる自動処理が設定されていると考えられますが、だからといって今後も上述のようなタイミングで介入が行われるかは不透明です。むしろ、度重なる値動きによって様々な法則を見つけ出したトレーダーも少なくないでしょう(上述の条件はほんの1例ですし正確かどうかの保証はいたしません)から、基準を変えてくるであろうことは容易に想像できます。

 しかしながら、無警戒にオプションを購入するくらいなら、何かしらの法則を見出して警戒するのは大切です。急速な円安進行下ではいつ介入があってもおかしくないと、肝に銘じておきましょう。

まとめ

  • 為替介入は急変への一時的な対処で行われている公算
  • 直前に1.5円前後のドル急騰が見られる
  • 今後も要警戒

 公式には、21日及び24日の変動が介入であったかどうかはコメントされていません。介入前には連絡を入れるであろう米国側は、公式には『連絡は受けていない』としていますが、これも覆面介入であったならばそう答えるよう日本側から依頼された、あるいは意図を汲み取ったと考えることもできます。

 為替を活用する場合、介入相手が米ドルである以上はどの通貨ペアであってもバイナリーオプション取引に少なくない影響を及ぼします。FXならば塩漬けできてもバイナリーオプションではそうもいかないため、警戒すべき状況下での取引はことさら慎重に行いましょう。

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