移動平均線はバイナリーオプションでどう見る?グランビルの法則も徹底解説

UPDATE:2022/02/03

 為替レートを予測するためのテクニカル分析。その中でも、よくローソク足チャートとともに使用されるものがあります。

 それが、『移動平均線』。FXでは勿論のこと、バイナリーオプションにおいても重要視される指標です。

 今回は、この移動平均線とはどういったものなのか、具体的にどう活用するのかについて、解説いたします。

移動平均線とは

 移動平均線とは、一定期間の終値を平均化してつないだ線のことです。

 例えば、1分足チャートの場合、期間を『5』と設定すると、移動平均線は、過去5分間の終値を平均化します。

 これによって、現在、トレンドがどの方向を向いているのかが、直感的に分かるようになっています。

 トレンドの方向自体はローソク足チャートだけでも見ようと思えば見えますが、平均化の結果、単純化されているため、移動平均線を使ったほうがより簡単です。

短期線、中期線、長期線

 この移動平均線には、『短期線』『中期線』『長期線』の3種類があり、下の画像のとおり、平均化する期間が長ければ長いほど、出来上がる線は緩やかになります。

移動平均線:短期線/中期線/長期線

 それぞれの期間の指定については、見ている足の期間によって様々。バイナリーオプションでよく使われる1分足では、『短期:5』『中期:30』『長期:60』で見ることが多い傾向にあります。

 FXなどでは、スキャルピング=超短期取引やデイトレード以外では、日足を使う場合が多く、その際は『短期:5』『中期:10 or 20』『長期:25 or 40』などが指定されます。

 これはそれぞれ、『短期=1周間分』『中期=2周間~1ヶ月分』『長期:1ヶ月~2ヶ月分』を示します。

 1週間を7として見ないのは、土日は市場が閉まり、取引が出来ないため、その分を差し引いているからです。

 移動平均線には、『単純移動平均線』『加重移動平均線』『指数平滑移動平均線』と、3種類が存在します。

 それぞれ、『SMA』『WMA』『EMA』と略されますが、どの程度違いが出るのでしょうか。

 SMAは『Simple Moving Average』、WMAは『Weighted Moving Average』、EMAは『Exponential Moving Average』の略です。

単純移動平均線

 多くの場面で利用され、基本的な『単純移動平均線』。バイナリーオプションでは勿論、FXでも最も多く用いられる移動平均線です。

 基本的に、単に移動平均線という場合は、この単純移動平均線のことを指している場合が多く、上の画像も単純移動平均線として表示しています。

 文字通り、期間内の終値を平均化しただけの単純なもので、3種類の中では最も分かりやすく、使いやすいものとなっています。

加重移動平均線

 こちらの『加重移動平均線』は、単純移動平均線と違い、最新の株価に重きを置いて算出されます。

 逆に、古い数値の比重は小さく、単純移動平均線と比べ、動きが早くなります。

指数平滑移動平均線

 この『指数平滑移動平均線』も、加重移動平均線と同様、最新の数字の比重が大きい移動平均線です。

 それだけなら加重移動平均線と同じですが、平滑化係数という定数を用いて、比重の度合いを決めているのが特徴。

 更に、通常なら計算から除外される期間外のデータであっても、計算に反映されるため、古いデータから計算が順次除外される単純移動平均線や加重移動平均線の弱点を補っています。

 しかしながら、加重移動平均線、指数平滑移動平均線ともに、レートに対する反応が敏感なため、単純移動平均線よりも、だましを誘発しやすいデメリットもあります。

 どれを使うか迷ったら、まず単純移動平均線を利用することをオススメします。

2つの線が交差するとき

 では、レートの変動予測に、移動平均線はどう活用できるのでしょうか。

 重要なのは、短期と中期、長期の移動平均線が、どのように交差したか、あるいは、どう並んでいるか、です。

 以下に示す画像では、全て単純移動平均線を使用しています。

ゴールデンクロスはレートが上がるサイン

ゴールデンクロス

 上図のように、『短期の移動平均線が、中期/長期の移動平均線を下から上に突き抜けた交点』を、『ゴールデンクロス』と呼びます。

 ゴールデンクロスが発生した場合、レートの上昇が見込まれますので、この場合、バイナリーオプションでのポジションは『上昇』に取りましょう。

 実際に、図の中でもゴールデンクロスのあと、レートは一気に上昇しています。

デッドクロスが見えたら下降に注意

デッドクロス

 逆に、『短期の移動平均線が、中期/長期の移動平均線を上から下に突き抜けた交点』『デッドクロス』と呼ばれ、こちらはレート下降のサインです。

 図においても、短期線が中期線を上から突き抜けたとき、レートが下降しています。更に、中期線が長期線を上から突き抜けた際にも、レートが一気に下降しているのが分かります。

 ゴールデンクロスもデッドクロスも、やはり必ずそう動くと保証されているわけではありません。

 実際に図の中でも、中期-長期のデッドクロス発生のあと、すぐに上昇しています。

 これは、長期の移動平均線が上昇傾向にある場合のデッドクロスであるためです。長期移動平均線が上昇傾向にあるデッドクロス、あるいは下降傾向にあるゴールデンクロスは、一時的なレートの変動である可能性が高く、エントリーはおすすめできません。

交差していないときはパーフェクトオーダーかも?

 移動平均線が交差せず、全てが同じ方向に向かっている場合――その順番が整っていたら、それは『パーフェクトオーダー』です。

パーフェクトオーダー

 上図では、短期>中期>長期の順番に移動平均線が並んでいます。このときには上昇トレンドが発生しています。

 逆に、長期>中期>短期の順に並んでいる場合は、下降トレンドが発生していると読み取れます。

 ゴールデンクロスやデッドクロスと比べると、ややポジション取りのサインとしては弱い印象です。

 というのも、上昇のパーフェクトオーダーが出たとき、もしそれが高値圏だった場合、直後に下降に転じる可能性が出てくるからです。

 バイナリーオプションでパーフェクトオーダーを活用する際には、他の指標もよく見て、トレンドの転換点ではないか見極めるようにしましょう。

グランビルの法則

 移動平均線の活用法は、ゴールデンクロスやデッドクロス、パーフェクトオーダーだけではありません。

 本項で紹介する『グランビルの法則』は、移動平均線とローソク足を組み合わせたレートの予測に関する8つの法則です。

 米国の分析家、ジョセフ・エンサイン・グランビルが考案した手法で、グランビルは移動平均線の発案者でもあります。

レートが上がる4つの法則

 グランビルの法則は、レート上昇時と下降時で、それぞれ4つの法則に分けられます。まずは上昇サインからご紹介しましょう。

  • 移動平均線が下降後、横ばい、または上昇に転じたとき、ローソク足が移動平均線を、下から上に突き抜けた
  • 移動平均線が上昇中、ローソク足が移動平均線を、一時的に下へ抜けたあとに再上昇した
  • 移動平均線が上昇中、上にあったローソク足が一時的に移動平均線に近づくも、交差することなく再上昇した
  • 移動平均線が下降中、ローソク足が移動平均線の下に大きく離れて現れた

レートが下がる4つの法則

 それでは続きまして、レートが下降する際のサインを4つご紹介します。

  • 移動平均線が上昇後、横ばい、または下降に転じたとき、ローソク足が移動平均線を、上から下に突き抜けた
  • 移動平均線が下降中、ローソク足が移動平均線を、一時的に上へ抜けたあとに再下降した
  • 移動平均線が下降中、下にあったローソク足が一時的に移動平均線に近づくも、交差することなく再下降した
  • 移動平均線が上昇中、ローソク足が移動平均線の上に大きく離れて現れた

 ご覧のように、グランビルの法則における上昇サイン、下降サインは、それぞれ対となっています。

ローソク足と移動平均線の関係

 移動平均線は有用な指標ですが、単体で使われることはあまりなく、多くの場合、ローソク足チャートと重ねて使われています。

 移動平均線は、『過去の売買の平均価格』と言い換えられます。

 そして、現在の価格が移動平均線よりも遠いということは、FXにおいては含み損、あるいは含み益を抱えている人が多いということ。

 仮に、5日移動平均線における数値が100円、現在の価格が110円としましょう。この場合、過去5日間に買った人は、現在利益が出ていることになります。

 しかし同時に、このタイミングで売りポジションを取る人も多くなります。そうなると、ローソク足は移動平均線に近づいていくことになり、含み益があった人は、「今のうちに利益を確定させよう」と、売りに入ります。

 そうなると売りの勢いは加速し、やがて移動平均線と交差、下へと抜けていきます。

 その後は逆の状況が発生し、売った人が買い、あるいは新たに買い、勝った人が売り、あるいは新たに売りを繰り返します。

 その結果として、移動平均線を堺に、近づいたり遠ざかったりしながら、ローソク足チャートは形成されていきます。

 この『近づいたり遠ざかったり』を分析に用いるテクニカル指標として、『エンベロープ』があります。

エンベロープはどんなテクニカル指標?バイナリーオプションでの分析方法は?

エンベロープはどんなテクニカル指標?バイナリーオプションでの分析方法は?

 含み損とは、まだ決済はしていないものの、売却、あるいは買い戻した場合にマイナスとなる状態のことを指します。

 含み益はその反対で、今決済すれば利益が確定する状態です。

移動平均線とローソク足でトレーダーの行動を先読みする

  • 移動平均線は過去の取引の平均価格
  • 短期と中期、長期の移動平均線の交差の仕方に要注意
  • 移動平均線とローソク足の関係をしっかり見る

 バイナリーオプションではレートが上がるか下がるかを見るわけですから、このFXのトレーダーの行動を知ることは、非常に重要です。

 そのために、移動平均線と共にローソク足チャートの流れもよく観察し、彼等がどんな取引を行いたがっているのか、しっかりと分析しましょう。

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