ローソク足チャートの見方・酒田五法について
UPDATE:2022/04/26
前回では、ローソク足チャートを使って、2本のローソク足の組み合わせで現れる上昇や下降のサインについて扱いました。
今回は更に、2本セットのローソク足の応用や『酒田五法』など、より実践的にチャートを読み解いていこうと思います。
ローソク足の2本セット応用編
前回でご紹介しました、チャート上の2本セットのローソク足には、次に続くローソク足によって意味合いが変わってくるものがあります。
たすき線

こちらの『たすき線』は、一見してかぶせ線に近い形をしています。2本を合わせた場合、上影陰線に似た形を作ることからも、レートが下がるほうにポジションを取りたいところ……と判断すると、失敗する可能性があります。
上図の陰のたすき線が上昇の初期に現れたとき、直後のローソク足が陽線として現れた場合、上昇が継続する可能性が大です。
たすき線で現れた陰線は、含み益を抱えたトレーダーが、利益を確定させたことで生じた、一時的な下降と見られます。
もし高値圏で現れたのならば、そのまま下降に転換する可能性が高いと判断してもいいでしょう。しかしトレンド発生の初期には、まだ買いの勢いが強いとも考えられるため、バイナリーオプションでは、3本目のローソク足が現れるのを待って、陽線ならハイ、陰線ならローへのエントリーを検討しましょう。
逆のパターンとして『陽のたすき線』も存在します。見方はトレンドやローソク足の方向が逆なだけで、陰のたすき線と同様です。
なお、3本目のローソク足を見なくても、たすき線の次の動きを予測できる場合もあります。
それは、たすき線の直前に窓が発生している場合。

この場合は陰のたすき線の場合は『上放れたすき』、陽のたすき線の場合は『下放れたすき』となり、それぞれ上昇が加速するサイン/下降が加速するサインとして扱われます。
かぶせの上抜き

こちらでは、明確にかぶせ線が出ています。前回、かぶせ線はレート下降のサインとして紹介しましたが、その後のローソク足によっては、逆の意味を持つことがあります。
それがこちらの『かぶせの上抜き』です。
元々のかぶせ線で考えるならば、発生後に下降への転換が予想されます。ですが図では、一時的に停滞したあとで、高値を超えた大陽線が現れています。
利益を確定させた買い手のトレーダーが買い直したり、新たに買いのポジションを取るトレーダーが現れた場合に発生するため、バイナリーオプションでの判断も、通常のかぶせ線とは異なり『ハイ』へのエントリーが望ましいでしょう。
ですが、この『かぶせの上抜き』には、一時的な上昇の可能性も残されています。
かぶせ線のみならず、ローソク足でレートを予測する際には、常に『高値圏』や『安値圏』にも目を向けるようにしましょう。場合によっては、かぶせ線が出たときにはエントリーしないという判断も、必要です。
より実践的なローソク足チャートの読み解き方
ここまでに紹介してきたローソク足の形も、実際の取引でよく見かけるサインであることは間違いありません。
とはいえ、これまではチャートを読むというより、ローソク足単体で見ているという印象が強いのではないでしょうか?
ここからは、ローソク足チャートの伝統的な分析方法として知られる『酒田五法』について解説いたします。
酒田五法とは
酒田五法は、江戸時代に当時の米商人であった本間宗久が考案した、ローソク足チャートの分析方法です。
本間宗久は、ローソク足の生みの親ともされています。
……と、一般的には言われていますが、実際のところは、米の取引市場の整備や本間の逝去年にずれがあることなどから、疑わしい点が多々あります。
そんな昔の分析方法が現代でも有効なのかと疑問を覚えるかも知れませんが、実際、海外においても酒田五法は、レート予測の指標として広く活用されています。
五法の名が示すとおり、酒田五法の基本は、『三山』『三川』『三空』『三兵』『三法』の5つに分けられます。
三山

ローソク足チャートによって形成された山が3つ並んでいます。
このときの山の頂点を結んだ線を『天井』といい、この『三山』では、この天井を越える高値は出ないだろうという判断されます。
3つ目の山が現れて天井を越えなければ、そのままレートの下降が予想されます。バイナリーオプションでなら、下降し始めたタイニングを見計らって、ローへのエントリーがおすすめです。
三山の中でも、真ん中の山が一番高いパターンは『三尊』と呼ばれます。
この場合でも通常の三山と同様、天井は超えないだろうという判断から、天井に近い位置でローにポジションを取るといいでしょう。
三川

こちらの『三川』においては、三山とは逆に安値の限界=『底』を見極めるテクニカル分析です。
考え方は三山と同様、3つの谷を作ったローソク足チャートから底を見つけ出し、これ以上レートは下がらないと予測します。
三川が現れたら、ハイへのエントリーを考慮しましょう。
三川においても、真ん中の谷が一番低いパターンが発生することがあります。
こちらは『逆三尊』といい、やはりレート上昇のサインと判断できます。
三山、三川、ともに、それぞれ高値圏/安値圏で生じた場合にのみ有効です。値動きがもみ合っているレンジ相場では、このような形状のチャートはよく出現し、場合によっては三山と三川の形状が同時に出現することもあります。
山や谷が3つ並んだからと安易に考えるのではなく、高値と安値をしっかりと意識しましょう。
また、これらだけでレートの動きを推測するのは危険です。他のテクニカル分析の指標も活用し、複数の視点から値動きを予測しましょう。
三空

この『三空』は、1日未満の短期取引であるバイナリーオプションでは活用する機会がないかも知れません。
一般に、ローソク足とローソク足の間に空間=『窓』が現れた場合、トレンドの勢いが非常に強いことを表します。
ですがそれ以外にも、窓には突発的な報道などで相場に混乱が生じたことも表しています。
窓が3回も続けば、流石に混乱しすぎという判断から、レートの方向が反転すると予測できます。
窓の発生は、取引時間外の報道によるものが主たる要因です。
窓単体ならば分足や時間足であっても現れることはありますが、三空はほぼ現れないと判断できます。
三兵

恐らく、酒田五法をバイナリーオプションで活用する中で、最も目にする機会が多いのが、『三兵』ではないでしょうか。
3本の陽線が上昇方向に階段状となって現れた状態を『赤三兵』、3本の陰線が下降方向に階段状に現れたものを『黒三兵』といい、それぞれ更なる上昇/下降が予測できます。
ただし、赤三兵において、3本目のローソク足に長い上ヒゲが発生していた場合、それは『赤三兵先詰まり』という、逆方向=下降への転換サインとなります。
長い上ヒゲがどういう意味合いを持つのかについては、下記をご参照ください。

ローソク足って何者?バイナリーオプションで超重要!まずは基礎から
三法

こちらも、バイナリーオプションで活用する機会が多い『三法』と呼ばれる指標です。左側が『上げ三法』、右が『下げ三法』と呼ばれます。
酒田五法においては、『売り=レート下降』、『買い=レート上昇』とともに、相場に動きが見られない『休み』も重要視されます。
上げ三法を例にしますと、大陽線の間に発生した小さなローソク足は、レートが小休止中であることを意味し、この間は取引も休んだほうがいいでしょう。
この小休止期間を抜けて、前の大陽線の終値を上抜く大陽線が現れると、レート上昇が始まるサインとされています。
下げ三法の場合は、逆にレート下降が始まるサインとなります。
この『小休止しているレート』を、『レンジ相場』あるいは『ボックス相場』とも呼びます。
レンジ相場は場合によっては細かく稼ぐチャンスではありますが、どちらに値が動くか読みづらいことが多いため、取引は休みましょう。

トレンドラインの正しい引き方とバイナリーオプションで活用する方法
今回のまとめ
- 2本セットのローソク足の先に現れるローソク足も重要
- 酒田五法『三山』『三川』『三空』『三兵』『三法』
ローソク足チャートを用いたテクニカル分析の中でも、酒田五法は広く使える安定した指標です。
バイナリーオプションで利用する場面も多いかと思いますので、是非覚えて効率的に活用しましょう。