バイナリーオプションが原因で自己破産はできるのか?

UPDATE:2023/03/17

 再三に渡り、バイナリーオプションかどうかに関わらず、投資投機は余剰資金で行うものであるとお伝えしてまいりました。

バイナリーオプションで借金?失敗談から学ぶバイナリーオプションに挑む心構え

バイナリーオプションで借金?失敗談から学ぶバイナリーオプションに挑む心構え

 こちらの記事にて、借金返済や脱サラを目的としてバイナリーオプションに取り組み、しかし上手くいかずに借金してまで取引を続けた事例をご報告いたしました。この時点でそもそも問題がある選択を取っているわけですが、では、もしバイナリーオプションを理由に借金をして、返済する当てがなくなった場合、自己破産は可能なのでしょうか?

 今一度繰り返しますが、元来そのような事態に陥ること自体が大問題ですし、もはやそれは依存症といっても差し支えない状況となっています。もし、今そのような状況にあるのでしたら、専門の機関、弁護士の方などに相談することを強くおすすめします。

バイナリーオプション関係での自己破産は難しい

 結論を言ってしまいますと、もしバイナリーオプション取引を目的として借金をして首が回らなくなった場合、自己破産はできないと考えたほうがいいでしょう

 自己破産に関する法律『破産法』の第252条に、以下のような文言があります。

裁判所は、破産者について、次の各号に掲げる事由のいずれにも該当しない場合には、免責許可の決定をする。

中略

浪費又は賭博その他の射幸行為をしたことによって著しく財産を減少させ、又は過大な債務を負担したこと。

破産法 | e-Gov法令検索

 これまで、バイナリーオプションは賭博ではなく投機であるとは申し上げてきました。ならばこの条文には抵触しないのでは、と思われるかも知れません。

 しかし、破産法においてそれを判断するのは裁判所です。そしてほとんどの場合、バイナリーオプションは『射幸行為』と判断されます。

 射幸行為とは、偶然の利益を努力なしに得ようとする行為全般を指します。

 自己破産するかどうかまで追い込まれているということは、通常であれば借金を背負うことはないバイナリーオプション取引において、自分の判断で借金してまで取引を続けた結果ですので、投資だ投機だという話は通用しません。

例外はある……かも

 ただし、バイナリーオプションで自己破産できる可能性は、実は0ではありません。

 同じく破産法の第252条には、以下のようにも書かれています。

前項の規定にかかわらず、同項各号に掲げる事由のいずれかに該当する場合であっても、裁判所は、破産手続開始の決定に至った経緯その他一切の事情を考慮して免責を許可することが相当であると認めるときは、免責許可の決定をすることができる。

破産法 | e-Gov法令検索

 どのような状況で免責許可が出るかは裁判所判断ですので想像するより他ありませんし、可能性が0ではないだけで実際のところは限りなく0に近いといっても差し支えありませんが、例えばもし、『これまで長い間、バイナリーオプションで生活してきた』という状況から一気に転落した、などといった場合には、もしかしたら自己破産の許可が降りるかも知れません。

 上記の例ですと、それまでの取引履歴、収支報告など、様々な書類が必要になると思われます。そして、それらを整えたとしても破産が認められるかどうかは、裁判所の裁量次第です。

クレジットカードの乱用にも要注意

 バイナリーオプションにおける借金というのは、何も消費者金融などから資金を借りてバイナリーオプションの運用に回すだけとは限りません。クレジットカードの乱用にも注意が必要です。

バイナリーオプションの口座入金におけるクレジットカードのメリット・デメリット

バイナリーオプションの口座入金におけるクレジットカードのメリット・デメリット

 クレジットカードは手元に現金がなくても買い物ができる便利なものではありますが、自己の支払い能力を超えた買い物をすれば、当然オーバーした部分は負債として残ります。これのせいで自己破産、あるいは後述の解決手段を取らざるを得なくなることもあります。

 海外バイナリーオプションはクレジットカードでの入金が可能なのが魅力の1つではありますが、使いすぎには注意しましょう。

取りうる選択肢は『任意整理』『個人再生』

 このように、バイナリーオプション取引のための借金は自己破産の対象外となる可能性が限りなく高いですが、他方で『任意整理』『個人再生』なら可能になる算段が高いと思われます。

 この2つは、いずれも大雑把に言うなら、現在ある借金を、債権者と交渉して返済額を減らしてもらい、それを予め立てた計画に従って返済していくという方法です。

任意整理とは

 任意整理とは、司法書士と債権者との間で行われる交渉により、将来の利息のカットや長期分割弁済、一括返済による債務減額などの和解を成立させ、支払いを楽にする手続きを指します

 こちらの方法は裁判所が関与しないため手続きは簡単となっているようです。ただその分、後述の個人再生と比べると返済すべき金額は多くなっています。

個人再生とは

 こちらには任意整理とは異なり、裁判所に間に立ってもらうことになります。

 具体的には、裁判所に個人再生の申立を行い、認可が受けられれば、大幅に減額された借金を3年から5年程度かけて返済していく手続きです

 こちらを利用する場合、債務総額が5,000万円を超えない場合にのみ可能となっています。

 減額される額は債務がいくらかにもよりますが、最大で10分の1にまで抑えられます。

 ただし、債務総額が100万円未満の場合は、全額の返済が必要となります。返済額が10分の1となるケースは、債務が3,000万円~5,000万円の場合に限られます。

 また、上述の任意整理も同様ですが、手続きを行うには将来的に継続して収入が得られること、返済の意思があることが大前提となります。

まとめ

  • バイナリーオプションが原因の借金は自己破産できない
  • 可能なのは任意整理と個人再生
  • そもそもそんな事態にならないのが大切

 バイナリーオプションで失敗しても自己破産すればいい、なんて甘い話はありません。そもそも、自己破産は自身が保有する財産の大半を手放すことになるため、元来そのような選択肢を取らざるを得ない状況にならないようにするのが一番であるのは当然です。

 そして、任意整理にせよ個人再生にせよ、手続きには手数料が発生します。まかり間違っても、解決策があるなら別にいいかなどという考えで行動しないよう、自制を心がけましょう。

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