バイナリーオプションの損益分岐点や期待値の計算方法を解説!取引見直しの基準に有効活用しよう

UPDATE:2023/01/31

 バイナリーオプションに限らず、資金管理を行う上で大切な数字があります。

 それは、どの程度損が発生したら撤退するか。

 それ自体は人によって様々かとは思いますが、その数値の設定をするためにも、損益分岐点や期待値の把握は非常に重要です。

 今回は、バイナリーオプションにおける損益分岐点、期待値の計算方法や、それを元にしたバイナリーオプションの撤退タイミングなどについて解説致します。

損益分岐点とは

 損益分岐点とは、売上と、その売上を上げるのに使った費用が等しくなり、損益が0となる売上高のことです。一般には企業経営などで見られることが多い数値ですが、FXや株式投資においても重要視される数値の1つでもあります。

 この損益分岐点より売上が上回れば利益、下回れば損失となります。

 損益分岐点の算出は通常、かかった費用を固定費と変動費に分けて考える必要があります。売上高から変動費を引いた『限界利益』を、更に売上高で割った(売上高に占める限界利益の割合である)『限界利益率』で固定費を割ることで、損益分岐点が算出されます。

 計算式でまとめると、『損益分岐点 = 固定費 / (1 – (変動費 / 売上高))』です。

バイナリーオプションにおける損益分岐点の計算方法

 上記のものは、あくまで一般的な損益分岐点の話。バイナリーオプションの損益分岐点となると、また異なります。

 バイナリーオプションにかかる費用は、固定費と変動費に分けられません。ですので、上記の計算式は使えないのです。

 ……結論をいってしまうと、バイナリーオプションにおける損益分岐点の計算式は、下記のとおりです。

100 / ペイアウト率

 これによって導き出される数値が、バイナリーオプションにおける損益分岐点となる勝率です。

 つまり、バイナリーオプションで利益を上げるためには、上記計算式で割り出された数値以上の勝率を目指す必要があるのです。

 ここから逆算して、よくいわれる『勝率6割を目指す』場合、ペイアウト率が1.66以下だと、利益は発生しません。

期待値とは

 期待値とは文字通り、期待できる利益の数値のこと。期待値を数学的に説明し始めるといささかややこしくなるので割愛しますが、1番分かりやすいサイコロでいうと、出目の期待値は3.5です。

 特定の出目が出る確率が均等の場合、確率はそれぞれ1 / 6。これに出目を掛け合わせて出た値を全て足し合わせると、3.5となります。

 ひどくざっくりとした説明をするとすれば、起こり得る全ての可能性を、それぞれの状況に応じた結果を加味して足し合わせると、期待値が求められます。

バイナリーオプションにおける期待値の計算方法

 バイナリーオプションで期待値を求めるには、まず『勝率』『掛け金』が必要です。

 先に計算式を示しますと、

[1回の利益]×[勝率] – [1回の損失]×[敗率]

 この式によって、バイナリーオプションの期待値は求められます。

 では、具体的な数字を入れてみましょう。掛け金を1,000円、ペイアウト率は1.9倍、勝率は6割あるとしましょう。このとき、

 [利益] = 900円

 [損失] = 1000円

 [敗率] = 4割

 となり、

 900 × 0.6 – 1000 × 0.4 = 140

 というわけで、140円が期待値となります。

 利益は実際のペイアウトからポジション購入額を引く必要があるため、『[購入額] × (1 – ペイアウト率)』で算出します。

 また、上記式ではアット・ザ・マネーを負けとして計算しています。

損益分岐点や期待値から考えるバイナリーオプションの撤退タイミング

 上述の2点を基準として、どこまで勝率が落ちたらバイナリーオプションから撤退するか、あるいは、どの程度損失が出たら撤退するかを検討してみましょう。

タイミングを決めるその前に

 上述の計算式で割り出される勝率が損益分岐点として扱えるのは、全ての取引を同じ金額でエントリーしているという前提条件があります。毎回毎回バラバラの金額でエントリーしている場合は、なんの意味もない数値になってしまいます。

 仮に高い勝率を維持できていたとしても、大きな額を投入したときに負ければ、全体で損失となることは十分に考えられます。

 また、期待値に関しても同様のことがいえます。

 このように、トレーダーが『コツコツと利益を積み重ねたあと、ドカンと大きな損失を出す』現象を、通称『コツコツドカン』といいます。

 コツコツドカンを止められないと、バイナリーオプションで安定した利益を得ることはできません。

撤退タイミングの例

 予めお断りしておきますが、これから挙げるのはあくまで1つの例です。絶対にこうしたほうがいいというものではありませんので、ご了承ください。

 仮に、取り組んでいるバイナリーオプション取引のペイアウト率が1.9倍、口座残高が10万円あり、毎エントリーに1,000円使用しているとします。

 まずは、損益分岐点からの撤退タイミングを検討しましょう。このときの損益分岐点は、『100 / 1.9 ≒ 52.63%』となり、10回中6回、50回中27回、100回中では53回以上勝つことで、利益が発生します。

 安定してペイアウト率1.9倍あるバイナリーオプション業者としては、『ハイロードットコム』があります。

 さて、個人的見解にはなりますが、50回エントリーして勝率が損益分岐点を超えない場合、一度取引をやめてエントリーの根拠などを見直したほうがいいのではないかと思われます。

 本来なら、運によらない勝率を算出するためには、100回の試行でも足りないくらいなのですが、実際の資金を動かす以上ことはそう簡単ではありません。かといって、100回やって万が一100回連続で負けた場合、口座の残高が底をつきます。

 そこで、その半分である5万円=50回の試行を、一旦の判断基準としました。

 勿論、更にその半分の25回でも問題ありません。その場合、14回の勝ちで利益が出ます。

 続いて、期待値から撤退タイミングを図ります。損益分岐点を損失に重きを置いた撤退タイミングの基準とするならば、こちらは利益に重きを置いた基準です。

 どうするのかというと、まず、1回の取引に対し、どの程度平均して利益が欲しいかを決めます。といっても、好き勝手に決めていいというわけではなく、1回の取引で得られる範囲内で、期待値を設定しなければなりません。

 今回の例でいうと、0~900円です。

 仮に、目標とする期待値を300円とした場合、先述の計算式から逆算して、必要となる勝率Xは、

 300 = 900X – 1000 (1 – X)

 X ≒ 68.421%

 となります。これを下回ったとしても、損益分岐点をまたがなければ利益は出ていますから問題はないといえばないのですが、もし目標に届いていないのなら、目標の再設定が必要でしょう。

 なお、勝率以外にも購入額も期待値に影響を与えるため、期待値通りの利益を出したいのなら、取引額を上げるのも1つの手段ではあります。

 期待値300のまま1回の取引額を10,000円に上げた場合、勝率は約54.21%で目標達成可能です。

まとめ

  • 損益分岐点は損失と利益の境界線
  • 期待値は期待できる利益の値
  • 一定回数取引しても損益分岐点を超えられないなら再考を
  • 必要な利益が決まっているなら期待値から目標を定める

 損益分岐点と期待値の計算方法は、覚えておいて損はないものです。特にバイナリーオプションのように資金管理が重要な取引では、これらを把握しているのとしていないのとでは大きく違います。

 必要に応じてこれらを用いて、取引方法の見直しタイミングを設けてみては如何でしょうか。

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