バイナリーオプションと先物取引の違いは?初心者は先物に手を出すな!
UPDATE:2022/12/21
オプション取引に代表される、『通貨や株式などの原資産から派生した、原資産に依存して価格が決定される金融派生商品取引』のことを、『デリバティブ取引』といいます。
バイナリーオプションの場合、基本的に取引に利用されるのは多くの場合通貨ペアですので、通貨を原資産としたデリバティブ取引です。
ところで、『先物取引』というものを聞いたことがあるでしょうか。この先物取引も、オプション取引と同様デリバティブ取引の1種です。今回は、この先物取引とバイナリーオプションの違いについて見ていきたいと思います。
先物取引とバイナリーオプションの違い
まずは、先物取引とバイナリーオプション、それぞれの違いについて簡単にまとめました。
先物取引 | バイナリーオプション | |
---|---|---|
取引内容 | 定めた期日に決めた価格での売買約束 | 定めた期日に売買する権利 |
利益 | 決済時点の状況で変動 | 約定時点で固定 |
最大損失 | 状況で変動 | 固定 |
証拠金 | 必要 | 不要 |
手数料 | あり | なし |
レバレッジ | あり | なし |
これだけでもある程度の違いは見えてきました。ここからはより具体的に、それぞれの特徴を紹介いたします。
先物取引の特徴
先物取引は、『定められた期日に、ある商品を、予め決めた数量と価格で売買する約束を現時点で交わす取引』のこと。これについては、分かりやすい例えとして、よく『店頭での事前購入予約』が用いられます。
ある宝飾店で10万円のリングを見つけたAさん。来年のボーナスで買おうと決心するも、原材料である貴金属の価格は変動するため、1年後も10万円で買えるという保証はありません。
そこで、10万円の10%を支払って、1年後に残りを払って購入するという形で予約することにしました。これによって、1年後に貴金属の価格がどう変動していようとも、Aさんが支払う総額は10万円で済みます。
一方、宝飾店のオーナーにとっても貴金属の価格変動は気がかりです。もし1年後に商品が値下がりしていれば、この10万円での予約購入は得になります。オーナーはAさんの予約を受け、契約は締結されました。
この例の場合、1年後の貴金属の価格によって、どちらにとって利益が出るか変わります。
もし1年後に貴金属の価格が上がり、それに付随してリングの価格が13万になっていた場合、Aさんは本来の店頭価格よりも3万円安い価格でリングを購入できます。
しかし、貴金属の価格が下がってリングの値段が7万円になっていた場合は、逆に店頭価格よりも3万円高い代金を払わなければなりません。この場合、店舗にとって3万円の利益となります。
上記の例のように、最終的に実物を受け渡す契約を特に『現物決済』と呼びます。
通常、先物取引での損益は、約定時点の価格と決済時の価格の差額で決まります。上記の例だと、約定価格は10万円、決済時の価格は1年後の価格です。
この方式の取引契約を『差金決済』と呼び、一般に先物取引というと、この差金決済のものを指します。
先物取引に必要な証拠金と手数料、レバレッジに関して
先物取引には、FXなどと同様に『証拠金』、『手数料』、『レバレッジ』があります。
これの内、証拠金は、先述の例で言うところの『先に支払った10%分』のことです。そして、この10%=1万円の資金を使って、実際には10万円分の取引を行っているため、レバレッジは10倍ということになります。
手数料に関してだけは上の例では説明できませんが、1つの約定に対して、各証券会社が予め定めた手数料が発生します。
先物取引のデメリット・リスク
先物取引は、FXやバイナリーオプションと同じように、短期間で大きな利益を狙うことも可能な取引です。また、レバレッジがあることで、少額からの取引にも対応しています。
しかしそれ故に、先物取引にはFXと同様、追加で証拠金が必要となる場合があり、また、大きな利益が得られる可能性がある反面、大きな損失を抱えるリスクもあります。
バイナリーオプションの特徴
バイナリーオプションに関しては、

バイナリーオプションとは?リスクやデメリットは?FXとは違うの?
こちらの記事にて詳細を説明していますが、取引しているものは権利であり、商品そのものや、商品の購入予約ではありません。
そのため、約定した時点で発生しうる損益は約定時点で確定しており、この点がバイナリーオプション最大の強みともいえます。
反面、1回の取引で大きな利益を出すのは苦手で、取引の単純さ故にギャンブル化するリスクもあります。
初心者はバイナリーオプションのほうがオススメ
先物取引は、バイナリーオプションの要素である『有限の決済期限』と、FXの『レバレッジ』要素を併せ持つ取引であるとも考えられます。この点から、先物取引は一層ハイリスクハイリターンの様相が強い取引といえるでしょう。
レバレッジがあるため、先物取引は保有する資産以上の取引が可能です。それ故に、短期間で資産を大きく増やせる可能性も、想定外の損失を被る可能性も等しくあります。
また、同様のリスクがあるFXの場合、決済のタイミングは完全に自分で制御可能であるのに対し、先物取引の決済には予め設けられた期限があります。このことにより、決済で損失が発生したが、そのまま保持できていれば利益が確保できていたという事態も発生し得ます。
バイナリーオプションにおいてもそうですが、この『一定時間後のレートがどうなっているか』を予測するというのは、実は慣れるまでは分析の難易度が高く、ちょっとしたことで予測どおりに動かないことが少なくありません。
このように、先物取引はバイナリーオプションのデメリットとFXのデメリットが共存した取引という側面があることから、先物で取り扱う商品に対する造詣が深いなど明確な理由がない限り、手を出さないほうが無難と思われます。
まとめ
- 先物取引は売買の約束をする取引/オプション取引は売買の権利を扱う取引
- 先物取引はハイリスクハイリターンの側面が強い
- 初心者にはバイナリーオプションのほうがおすすめ
一見して、先物取引とバイナリーオプションは似通った取引だと感じられるかも知れません。しかし、同じなのは決済までの期間が決められているという点だけであり、他の部分に関してはFXなどと類似した取引です。
そのため、FXと同様のリスクを抱えつつ、かつバイナリーオプションのデメリットの一部も生じてしまうという欠点があります。
初めての資産運用に挑戦する上で、もし先物取引とバイナリーオプションで迷っているのなら、比較的リスクが小さいバイナリーオプションのほうをオススメします。