結局のところ海外バイナリーオプションは違法なのかどうか

UPDATE:2022/12/21

 結局のところ、海外バイナリーオプションは違法なのか違うのか。

 国内の証券会社(GMOや楽天、IG証券など)が取引環境を提供する所謂国内バイナリーオプションは、当然ですが合法です。すなわち、バイナリーオプションそのものには何ら違法性は存在しないということになります。

 では海外バイナリーオプションは? 改めて、海外バイナリーオプションの違法性の是非について、見ていきましょう。

バイナリーオプションに関する法律

 バイナリーオプションは金融商品取引の一種であり、当然金融商品取引法が適用されます。

 全文はこちらで確認できますが、内容が多岐に渡るため、関連するであろう条項を抜粋します。

第五十八条の二

 外国証券業者は、国内にある者を相手方として第二十八条第八項各号に掲げる行為を行つてはならない。ただし、金融商品取引業者のうち、有価証券関連業を行う者を相手方とする場合(当該外国証券業者がその店頭デリバティブ取引等の業務の用に供する電子情報処理組織を使用して特定店頭デリバティブ取引又はその媒介、取次ぎ(有価証券等清算取次ぎを除く。)若しくは代理を行う場合を除く。)その他政令で定める場合は、この限りでない。

第五十九条

 外国証券業者は、第二十九条及び前条の規定にかかわらず、内閣総理大臣の許可を受けて、その行う有価証券の引受けの業務のうち、元引受契約(第二十一条第四項に規定する元引受契約をいう。次条第一項第六号ヘにおいて同じ。)への参加その他の行為で政令で定めるものを国内において行うこと(以下この節において「引受業務」という。)ができる。

 これを大幅に噛み砕くと、海外業者であっても日本国内向けにサービスを提供するのなら、認可を受けた上で日本国内の法に従わなければならないということです。

海外バイナリーオプションに照らし合わせる

 上記の条項を海外バイナリーオプションに照らし合わせてみましょう。

 まず、国内にある者を相手方として金融商品取引の環境を提供してはならないという点。一般に海外業者は、海外のトレーダーを対象としてバイナリーオプション取引の環境を用意しているのであり、状況としてはそこに日本人トレーダーが参入しているに過ぎません。よって、その観点から考えれば、海外バイナリーオプション業者は金融商品取引法とは関係ない――とするのが、海外バイナリーオプション合法派の捉え方です。

 当方としても、海外バイナリーオプション業者を紹介している都合上、その流れに乗るべきかとは思わないでもないですが、これについてはやはり疑問があります。

 どういうことかというと、ハイロードットコムやファイブスターズマーケッツ、直近(2022年11月現在)ではブビンガなどの業者が、日本語によるページを用意している点です。

 いうまでもなく、日本語は日本の公用語です。そして、日本語を公用語としているのは日本のみです。すなわち、日本語でのページを用意している=日本国内に向けても運営されていると判断されます。

 実際にこの点を根拠として、金融庁は各海外バイナリーオプション業者での取引に対する警告を行っています。

 このことから、残念ながら海外バイナリーオプション業者は日本においては違法業者であると言わざるを得ません。

業者側は罰せられないのか

 しかし、たとえ海外バイナリーオプション業者が金融商品取引法に違反しているといっても、日本国内から業者に対して何らかの処分を行うのは不可能です。

 違法であるのは日本からの視点であって、拠点がある現地においては正式に許可を得て営業している業者ですから、現地の捜査当局がどうこうできるわけではないですし、根本的にバイナリーオプションは、国が禁止していない限りは違法でもなんでもありませんから、大規模な詐欺業者でもない限りそもそも捜査する理由がありません。

 政府を通じて何らかの働きかけはできるでしょうが、それまでです。

 一例として、ハイロードットコムが移転した原因であるオーストラリアのバイナリーオプション規制は、日本政府から豪政府に対して動きがあったからと見られています。

利用者に違法性はない

 では利用する側はどうなのでしょうか。

 これについては違法性はまったくありません。金融庁も、海外バイナリーオプション業者との取引は、トラブルが起きたときにこちらから何もできないので控えてくださいとは言っていますが、海外バイナリーオプション業者の利用は違法であるとは言っていません。

 もし万が一、バイナリーオプション取引がギャンブルの一種と判断される場合は、刑法第185条及び186条にて禁止されているため、処罰の対象となり得ます。

第185条

 賭博をした者は、50万円以下の罰金又は科料に処する。ただし、一時の娯楽に供する物を賭けたにとどまるときは、この限りでない。

第186条

 常習として賭博をした者は、3年以下の懲役に処する。

 しかしバイナリーオプションはあくまで金融商品取引。単純賭博罪や常習賭博罪は適用されません。

まとめ

  • 金融商品取引法によって海外業者の取り扱いは規定されている
  • 海外バイナリーオプション業者は日本国内から見れば違法業者
  • 業者を裁く手段はなく、利用者に違法性はない

 違法業者で取引ということで尻込みしてしまう方もいらっしゃるかと思いますが、各業者が拠点をおいている国においては合法業者です。あくまで、日本の法律に照らし合わせれば、これらの業者は違法であるというだけのこと。

 加えて、それを利用する上で何かしらの法に抵触することもありません。安心して、バイナリーオプション取引に取り組んでください。

新着記事

前のページに戻るトップに戻る