ファンダメンタル分析とは?バイナリーオプションでも通用するか?

UPDATE:2022/12/21

 ファンダメンタル分析というものを、ご存知でしょうか。

 バイナリーオプションでは、基本的に『テクニカル分析』を利用した、過去の値動きからこの先の値動きを予測する手法が用いられます。

 これは、チャートの分析方法やシグナルをしっかりと把握すれば誰にでも扱える反面、扱う情報の膨大さ、覚えるべき指標の量などから、苦手とする人もいるでしょう。また、必ずしもその予測が当たるとは限らない点も、デメリットとして挙げられます。

 過去から未来を予測するのがテクニカル分析なら、ファンダメンタル分析は現在の情報から未来を予測する分析方法です。

 その具体的な手法や、バイナリーオプションでの活用法などを、見ていきたいと思います。

ファンダメンタル分析とは

 はじめに、1つ。

 ファンダメンタル分析は、中長期の取引に真価を発揮する分析方法です。

 超短期取引であるバイナリーオプションでは、しっかりと使い所を見極めないと全く役に立ちません。

 ダウ理論において、『平均=為替レートや株価は全ての事象を織り込む』とされています。

 これに従うならば、経済に関する報道、発表は勿論のこと、自然災害、事件、政変、戦争など、ありとあらゆる出来事が、レートの変動に影響を与えます。

 ファンダメンタル分析とは、これらの『現在の情報から未来の値動きを予測する分析手法』のことで、各国の経済状況や政府高官や高名な専門家など要人の発言、世界情勢などを元に、金融商品の値動きを予測します。

 2022年4月現在において、直近で最もわかり易い例はロシアのウクライナ侵攻です。この行為を多くの国は批判し、経済制裁として様々な行動を起こしました。結果、ロシアの通貨であるルーブルは急落しました。

 この『経済制裁が行われるからその国の通貨の価値は下がる』と予測する行為が、ファンダメンタル分析です。

 例えば、A国が『我が国は経済的に急成長中である』と発表したとします。このとき、『なら将来的に通貨の価値が上がるだろうか、今のうちに多めに買っておこう』、あるいは、『成長速度が速すぎる。これはどこかでぶり返しが起こるぞ』と判断し、それぞれ適したポジションを建てます。

 1年後、A国の経済は、やや緩やかになりつつも成長を続けていました。前者の予測を元に買いポジションを建てていた人物は、『そろそろ利益を確定するか』と決済。一方、後者の予測を立てた人物は、『じわじわと成長率が下がっているから、まだしばらく待とう』と、含み損のままポジションを保有し続けました。

 更に1年後。A国は徐々に経済的に後退を始め、最初に『急成長中』と発表したときよりも、少しばかり落ち込んだ状態になってしまいました。含み損のポジションを保有していた人物は、このタイミングで決済、わずかではありますが利益を得ました。

 上記の例は極端ではあるものの、概ねこれがファンダメンタル分析で取引を行う流れです。

ファンダメンタル分析の基礎

 ファンダメンタル分析を行うに当たり、まず取り組むべきは、膨大な量のニュースや経済情報を毎日チェックすることです。

 情報がなければ、分析のしようがありません。勿論、闇雲に情報を集めればいいというわけでもなく、自分が取引している、あるいは取引しようとしている通貨ペアに影響を与えるであろう情報を収集する必要があります。

優先して集めるべき情報

 とはいえ、やはり最も影響を与えるのは、経済成長率GDP経済政策といった、各国の貨幣価値に直接関係する情報です。

 また、米ドルに関連する為替を取引している方は、毎月第1金曜日に発表される米国雇用統計も重要です。

 他には、要人や著名人による発言も、集めておくべき情報といえるでしょう。

 例として挙げるとすれば、2021年5月、テスラの共同創設者であるイーロン・マスク氏が、テスラが保有するビットコインを売却する可能性をTwitterで示唆しました。

 これにより、一時ビットコインは大きく値を下げています。

 ビットコインはバイナリーオプションと関係ないと思われるかも知れませんが、海外バイナリーオプション業者のハイロードットコムなどでは、ビットコインと米ドルの為替レート取引が可能なことから、実は無関係ではありません。

テクニカル分析との違い

 バイナリーオプションでは、多くのトレーダーがテクニカル分析を活用しています。

 このテクニカル分析と、ファンダメンタル分析とでは、具体的にはどのような違いがあるでしょうか。

 まずは簡単に、テクニカル分析とファンダメンタル分析の相違点をまとめました。

テクニカル ファンダメンタル
特徴 過去の値動きから予測する 現在の情報をもとに予測する
メリット 経済に関する知識が必要ない 短期的なトレンドに左右されない
デメリット 突発的な出来事に対応出来ない 情報収集力で格差が出る

テクニカル分析は過去、ファンダメンタル分析は現在から予測を立てる

 テクニカル分析で活用されるのは、過去の値動きから割り出される指標です。

 現在の値動きの状況と過去の値動きを比較して、こういった動きを見せたときに、統計的にどう動く確率が最も高いかを分析し、その結果をもとにポジションを取ります。

 ファンダメンタル分析においても、過去の情報は重要です。発表された情報がどのように為替に影響するか、先例を見て判断する場面も少なくありません。

 ですがやはり、最も重要なのは、今経済で何が起こっているかを知ること

 発表された経済政策はどの程度その国の景気に影響を与えるか、現在の状況は下がり調子か上り調子かなど、鮮度の高い情報から確度の高い未来を掴み取る手法といえるでしょう。

経済の知識が必要ないテクニカル分析と、長期取引に最適なファンダメンタル分析

 テクニカル分析に、経済の知識は必要ありません。何故なら、必要な情報は全てチャートで見られるからです。極端な話、経済のけの字も知らないような状態でも、テクニカル分析の知識があれば問題ないのです。

 勿論知識があるに越したことはありませんし、あったほうが分析に幅を利かせられるのはいうまでもありません。

 ファンダメンタル分析では、どうしても経済関連の知識が要求されます。ですが、しっかりと知識を蓄えておけば、短期的な為替の上がり下がりに影響されず、長期的に見て大きな利益を得ることも、難しくありません

それぞれが抱える問題点

 テクニカル分析はその性質上、過去の値動きで参照できない突発的な出来事に対応できません

 また、チャートでは明らかにシグナルが出ていたのに、終わってみればそのシグナルとは逆に値動きしたということも起こりえます。

 テクニカル分析に『絶対』のシグナルは存在しません。どのチャートにも、必ずだましが存在します。

 ファンダメンタル分析にはそういったものはないのかというと、当然予測を外す可能性はあります。ですがそれよりも、各人の情報収集能力によって、大きな格差が生まれてしまう点のほうが、よほど深刻です。

 特に、証券会社や保険会社に所属する『機関投資家』と個人投資家とでは、それが顕著です。

 機関投資家の情報収集能力は圧倒的です。特に株式の世界では、企業の財務状況の収集については、よほどの実力か人脈がない限り、個人投資家が機関投資家に勝つことは不可能でしょう。

 これにより、個人投資家が取引のタイミングだと見た場面でも、実はそうではなかったということが往々にして起こります。

 バイナリーオプションやFXの世界においても、複数の経済誌やニュースから情報を精査するトレーダーと、例えばGoogleニュースだけから情報を集める人間とでは、当然分析力に雲泥の差が出ます。

 これらのことから、ファンダメンタル分析は、投資や投機にある程度取り組んできた中上級者向けの分析方法とされることもあります。

ファンダメンタル分析をバイナリーオプションで活用する

 長期取引で活躍するファンダメンタル分析と、超短期取引であるバイナリーオプション。一見して相性は悪いように感じられるかと思います。実際、30秒や数分、長くても2時間程度で決済を迎えるバイナリーオプションでは、ファンダメンタル分析の活用シーンは非常に限定的です。

 それでも、あえてバイナリーオプションでファンダメンタル分析を行うとしたら、どのような場面でしょうか。日頃経済ニュースをチェックしているからファンダメンタル分析のほうが性に合っている、テクニカル分析はどうにも苦手という方は、試してみてください。

 今回取り扱う手法は、経済指標の発表等に合わせたエントリーなど非常にハイリスクな取引となります。

 バイナリーオプションは基本テクニカル分析が有利である点を念頭に、実践する際にはくれぐれもご注意ください。

経済指標発表の直後は為替が大きく動く

 例えば、米ドルに関連するバイナリーポジション取引を行っている方は、『米国雇用統計』など、為替の動きに大きな影響を与えると予測される指標が発表されるタイミングなら、活用が可能です。

 米国雇用統計では、アメリカにおける『失業率』『非農業部門雇用者数』『過労働時間』『平均時給』など、10数項目の指標が発表されます。

 毎月第1金曜日、サマータイムが適用されているときには、日本時間21:30頃、冬時間の際には日本時間22:30頃に発表されます。

 雇用統計の中でも『失業率』『非農業部門雇用者数』は、よく注目されます。

 世界最大のGDPを誇るアメリカ経済は、その約70%が、個人消費によって支えられています。つまり、米ドルの価値=アメリカ経済がいいか悪いかは、個人の雇用状況に関わってくるのです。

 この発表によって政策金利の行く末が決まるため、、好景気と判断されれば米ドルの価値が上がり不景気とされれば価値は下がります

 アメリカの経済状況は、米ドルが基軸通貨である点から世界中から注目されており、この数値次第でドル高ドル安どちらにも大きく動く可能性があります。

 しかしながら、発表された数値次第では、どちらの方向にも明確な動きを見せないときもあります。

 前月やこれまでの成長率から、その数値がどの程度のものなのかをしっかりと見極めましょう。

指標発表前日にも要注意

 大きな経済指標が発表される前日にも、注意を払うべきです。

 指標発表に伴う為替の乱高下は、FXでポジションを建てているトレーダーにとってもそれなりのリスクになります。そのため、指標発表の前日には、発表がある国の通貨を取引しているトレーダーが、リスク回避のためにこぞって決済を行う傾向が見られます。

 米ドルの例で見ると、雇用統計発表前日の木曜日には、一時的にどちらか一方に大きく値が動く可能性が考えられます。特に、欧州のユーロネクストやロンドン証券取引所が絡んでくる15時頃からは、値動きを注視したほうがいいでしょう。

 この点に関しても、発表を待つまでもなく成長は明らかな場合など、明確な動きを見せないこともあります。

年度末や四半期末の決算を狙う

 日本においては、多くの輸出入企業、銀行や生命保険会社などの機関投資家は3月を決算期としており、そのため3月には、ドル円は異質な動きを見せることがあります。

 最も注目すべきは勿論期末日ではありますが、3月は全体を通してあらゆる要素を無視した値動きを見せる場面が多々あります。

 機関投資家が動かす資金は、個人投資家が動かしているものとは比べ物にならないほど莫大で、市場への影響は顕著です。状況によっては複数の機関投資家が同じ取引行動を取ることもあり、その際にはレートは一方行に強く動くことになります。

 この動きは実際にレートに現れるまでは確認できませんが、もし、何の脈絡もなく大きな値動きが見られたら、『今、もしかしたら機関投資家が動いているのでは』と判断して、そちらの方向にエントリーを検討してみましょう。

 同様に、3ヶ月に1度行われる四半期決算も要注意です。上場企業の四半期決算は、金融商品取引法によって公表が義務化されており誤魔化しが効きません。年度末決算ほど極端な動きはありませんが、注意しておくに越したことはないでしょう。

 また、年度初めとなる4月前半は、ドル円におけるドル買いが多く行われ、円安が進行することがあります。とはいえ、決算やその他の場面と比べると、それほど大きな動きにはならないこともあるため、念のため頭に留める程度でもいいかもしれません。

まとめ

  • ファンダメンタル分析は長期取引向き
  • 経済の知識が必要なので中上級者向け
  • タイミング次第でバイナリーオプションでも活用できる

 ファンダメンタル分析とテクニカル分析では、先を予測する点では同じでも、プロセスや得意とする場面は大きく差異があります。

 上手く使いこなして、バイナリーオプションの取引で有利に立ちましょう。

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