ウィリアムズ%Rを使った分析手法解説!バイナリーオプションとの相性は?

UPDATE:2022/12/21

 アメリカの有名な投資家の1人に、ラリー・ウィリアムズという方がいらっしゃいます。氏は1987年に、トレーダー達が競い合うロビンスカップにて、113.76倍という驚異的なリターンを出し優勝しました。この記録は2022年現在未だに破られていません。

 完全に余談ですが、ラリー・ウィリアムズ氏のご息女は、映画『ヴェノム』で主人公の元婚約者を演じたミシェル・ウィリアムズです。

 そんな彼が発案した投資手法の1つが、今回取り扱う『ウィリアムズ%R(W%R)』です。ラリー・ウィリアムズ氏の売買スタイルを強く反映したこの指標は、バイナリーオプションではどれほど有効に働くでしょうか。

ウィリアムズ%Rとは

 ウィリアムズ%Rは、相場の『売られすぎ』『買われすぎ』を示すオシレーター系指標の1つです。指標としては新しいものではありますが、実はその内容自体は、さほど斬新なものではありません。

ストキャスティクスとの類似性と相違点

 まずは、ウィリアムズ%Rを求める計算式をご紹介します。

W%R=(直近の終値-期間Nの最高値)÷(期間Nの最高値-期間Nの最安値)×100

 こちらの数式を見て、何か思い当たるものはないでしょうか?

 そう、ストキャスティクスの%Kとほぼ同じなのです。

ストキャスティクスとは?バイナリーオプションでもスローストキャスティクスが有効?

ストキャスティクスとは?バイナリーオプションでもスローストキャスティクスが有効?

 %Kの計算式は、

%K=(直近の終値-期間Nの最安値)÷(期間Nの最高値-期間Nの最安値)×100

 こちらで表されており、ウィリアムズ%Rとの違いは、直近の終値と比較するのが最安値か最高値かだけです。実際に表示されるチャートも非常によく似ています。

ウィリアムズ%Rとストキャスティクス

 中段がストキャスティクスで、青色のラインが%K、下段がウィリアムズ%Rです。どちらも期間Nは『14』で設定したため、一見して同じ動き方をしていることが分かるかと思います。

 ウィリアムズ%Rの期間Nは、『14』がデフォルトとされています。その他、ラリー・ウィリアムズ氏が検証で用いていた『20』を取り入れることもあります。

 では、%Kとの違いはどこにあるのかというと、値の取りうる範囲が異なります。

 %Kでは、『0~100%』の範囲内で値が推移するのに対し、ウィリアムズ%Rでは、『-100~0%』の範囲に収まります。この点は他のオシレーター系指標とも異なる部分なので、数値に着目する際には注意が必要です。

ウィリアムズ%Rの分析方法

ウィリアムズ%R

 値が-80%よりも下回っている場合、売られすぎ=買い(レート上昇)のサイン、-20%よりも上回っている場合は買われすぎ=売り(レート下落)のサインという考え方が、ウィリアムズ%Rの基本的な分析方法です。とはいえ、これをそのまま利用するには、ウィリアムズ%Rには大きな欠点があります。

 それは、ウィリアムズ%Rは、値動きに敏感すぎてダマシの発生が多いテクニカル分析指標であるということ。

 ラリー・ウィリアムズ氏は、長期的な売買による利益獲得よりも、日計りでの短期売買を得意とするトレーダーです。故に、ダマシを少なくすることよりも、より多くのシグナルをより早く確認するための指標を考案したと考えられます。

 そこで、少しでもダマシを回避する手法として、

  • 0%近辺を何度かタッチしてから下落→レート下落
  • -100%近辺を何度かタッチして上昇→レート上昇

 とする分析手法が編み出されています。これらはそれぞれ『ガーベージトップ』『ガーベージボトム』と呼ばれています。

 その他にも、他のオシレーター系指標と同様にダイバージェンスに注目した予測などもありますが、ウィリアムズ%Rならではの分析手法が存在します。

フェイラー

 フェイラーとは文字通り『失敗』を意味しており、具体的には、

W%Rが-80%に届かず反転 売られすぎではないがレートが上昇する可能性大
W%Rが-20%に届かず反転 買われ過ぎではないがレートが下落する可能性大

 上記のような分析が行われます。

時間軸と併用

 他にも、ウィリアムズ%Rに時間軸を取り入れる分析手法もあります。

 こちらは他のシグナルと比較してあまり目にする機会はないかも知れませんが、知らないままでいるのと、知った上で考慮から外すのとでは大きく違うため、把握しておいて損はありません。

買い=レート上昇シグナル W%Rが-100%に到達したローソク足の5本後に、-95%を下回っている
売り=レート下落シグナル W%Rが0%に到達したローソク足の5本後に、-5%を上回っている

 -100%も0%も、それぞれの売買が加熱し過ぎている根拠。それが薄らいだタイミングで逆張りを行う手法となっています。

まとめ

  • ウィリアムズ%Rは売られすぎ買われすぎを示すオシレーター系指標
  • ダマシが多いがシグナルも多い
  • 短期売買に強い

 短期売買に強いということからも、ウィリアムズ%Rはバイナリーオプションに活用しやすい指標であると考えられます。しかしながら、そのダマシの多さは少々厄介なので、一般に言われているように、移動平均線などのトレンド系指標と組み合わせ、ダマシ回避を考慮したほうがいいでしょう。

 もっとも、ウィリアムズ%Rの場合、節目での逆張りの際に売買判断の参考にする使い方のほうが有用とする考え方もあります。こればかりは個人個人によって様々でしょうから、ご自身のトレードスタイルにあった活用方法を模索していきましょう。

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