ストキャスティクスとは?バイナリーオプションでもスローストキャスティクスが有効?

UPDATE:2022/06/15

 以前、相場の買われすぎ・売られすぎを判断する指標として、『RSI』をご紹介しました。

RSIは何が見える指標?ダイバージェンスを意識したバイナリーオプションの戦い方

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 今回ご紹介する『ストキャスティクス』も、これらと同様、売り買いの状況を判断する分析方法です。RSIなどと比べるとやや複雑な、しかしその分明確なエントリーシグナルがあるストキャスティクスは、果たしてバイナリーオプションでも活躍できるのでしょうか?

ストキャスティクスとは

 先述しましたが、ストキャスティクスはRSIと同様、相場の売られすぎや買われすぎを示すオシレーター系指標です。

 単にその状況を見るだけならば、ストキャスティクスを用いるよりもRSIを用いたほうが単純で分かりやすいです。しかし、エントリーポイントを見つけるための分析に活用するのなら、ストキャスティクスを用いたほうが判断の助けになりやすいでしょう。

 詳しい分析方法は後述するとして、まずはストキャスティクスの構造の話から。

 一口にストキャスティクスといっても、厳密には、ストキャスティクスには2種類あります。

 1つは、『%K』と『%D』という2本の線で構成されるファストストキャスティクス。そしてもう1つは、『スロー%K』と『スロー%D』からなるスローストキャスティクス。一般にストキャスティクスという場合、実用面から後者のスローストキャスティクスを指していることがほとんどです。

ストキャスティクスの計算式

ストキャスティクス

 こちらは、MT5でスローストキャスティクスを表示させたものです。青緑の線が『スロー%K』の線赤が『スロー%D』を表しています。

 これらスローストキャスティクスの指標の計算式をご紹介……する前に、まずはファストストキャスティクスの%Kと%Dの計算式をご紹介します。

%K = (直近の終値 - 期間Nの最安値) ÷ (期間Nの最高値 - 期間Nの最安値) × 100

%D = 期間Mの%K移動平均

 期間Nや期間Mは自由に設定が可能ですが、多くの場合、期間Nは『5』『9』『14』のいずれか期間Mは『3』が用いられます。

 %Kは、オシレーター系指標の1つである『ウィリアムズ%R』と瓜二つな指標となっています。

 ウィリアムズ%Rにつきましては、下記をご参照ください。

ウィリアムズ%Rを使った分析手法解説!バイナリーオプションとの相性は?

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 スローストキャスティクスの数値は、これらを元に算出され、

スロー%K = %D

スロー%D = 期間Xの%D移動平均

 となります。期間Xについては期間Mと同じく、通常は『3』が用いられています。

MT5での設定例

 チャートツールの定番であるMT4やMT5にも、もちろんストキャスティクスは標準で実装されています。

ストキャスティクスのMT5での設定

 通常のオシレーター系指標の追加方法で『Stochastic Oscillator』を選択すると、上記の設定画面が開きます。

 ここで、『スローイング』の項目を3に設定するとスローストキャスティクス、1にするとファストストキャスティクスが表示可能です。

 基本的に、デフォルトである『%K期間=5』『%D期間=3』『スローイング=3』『適用価格帯=Low/High』『移動平均の種別=Simple』で問題ないかと思いますが、必要に応じて各項目を調整するといいでしょう。

ストキャスティクスを用いた分析方法

 ストキャスティクスで見るべきは、2本のラインがどこで交差したかです。

ストキャスティクスの分析

 ストキャスティクスでは、2本のラインが80%以上の位置にいるときに『買われすぎ』20%以下の位置にいるときに『売られすぎ』と判断され、買われすぎのゾーンで%Kが%Dを下に抜ける=デッドクロスを形成するとレート上昇のサイン、売られ過ぎのゾーンで%Kが%Dを上に抜ける=ゴールデンクロスを形成すると下降のサインです。

 その他、為替レートの動きとストキャスティクスの動きが逆行=ダイバージェンスが発生した際にも、エントリーのサインと判断できます。

 もしレートは下降しているのにストキャスティクスは上がっている場合は上昇サイン、逆の場合なら下降のサインとなります。

ファストストキャスティクスとスローストキャスティクスの違い

 分析方法自体は、ファストストキャスティクスもスローストキャスティクスも同様です。では、これら2つにはどのような違いがあるのでしょうか?

 それについては、以下の画像をご覧いただければ一目瞭然です。

スローストキャスティクス ファストストキャスティクス

 上がスローストキャスティクスのチャート、下がファストストキャスティクスのチャートです。どちらも、ほぼ同じタイミングでの表示で、期間などスローイングのパラメータ以外はデフォルトのままとなっています。

 明らかにファストストキャスティクスのほうが、波が荒れているのがお分かりいただけるかと思います。この状況を言語化するならば、ファストストキャスティクスは、為替レートの変化に敏感すぎて、ダマシの発生も多くなるということ。

 ファストストキャスティクスは短期取引には若干有利な側面もありますが、慣れない内はおすすめできません。

バイナリーオプションであってもスローストキャスティクスは有効か?

 バイナリーオプションでストキャスティクスを利用する上でも、やはりスローストキャスティクスを活用したいです。

 なぜなら、基本的にテクニカル分析の精度が下がる1分足チャートなどでファストストキャスティクスで分析を行うと、余計精度が下がる危険性があるから。

 上記の画像のローソク足チャートでも1分足チャートを開いていますが、スローストキャスティクスでも問題なく動いています。あえてファストストキャスティクスを利用する理由は、ないといっていいでしょう。

まとめ

  • ストキャスティクスは売られすぎ、買われすぎを示すオシレーター系指標
  • ファストストキャスティクスとスローストキャスティクスがあり、基本的にはスローストキャスティクスを使う
  • 売られすぎゾーンでのゴールデンクロスは下降サイン、買われすぎゾーンでのデッドクロスは上昇サイン

 オシレーター系指標共通の弱点として、トレンド相場では役に立てづらい特徴があります。これはもちろんストキャスティクスについても同様ですので、トレンド系指標でトレンドの有無を確認しながら運用したほうが確実でしょう。

 売られすぎ、買われすぎの指標で、かつ明確なサインが出るものがいいという場合、ストキャスティクスはうってつけですので、活用を検討されてはいかがでしょうか。

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