DPO(トレンド除去価格オシレーター)とは?短期向け分析はバイナリーオプションでも有効か

UPDATE:2022/12/21

 バイナリーオプションは、FXのスキャルピングのような超短期取引で利益を積み重ねる取引です。それは、裏を返せば、スキャルピングの手法が、ある程度バイナリーオプションにも応用できるということを意味します。

 短期的な値動きを分析する上では、各種テクニカル分析のシグナルはその精度が落ち、ダマシの確率が上がります。特に、バイナリーオプションでよく利用されるであろう1分足チャートではそれが顕著です。このことと、決済までの残り時間が予め決められていることから、バイナリーオプションは、取引ルールの単純さに反して、実は予測難易度が高い取引とされています。

 さて、こういった短期取引向けの分析手法ですが、その1つに『DPO』というものがあります。これがどういった数値を示しているのか、また、どのように分析すればいいのか、見ていきたいと思います。

DPOとは

 DPOとは、『Detrended Price Oscillator』の略で、またの名を『トレンド除去価格オシレーター』、あるいは『トレンド除去オシレーター』とも呼ばれます。

 その名が示すとおり売られすぎ/買われすぎの指標となるオシレーター系指標の1つで、3種類ある『プライスオシレーター』の1つでもあります。

 プライスオシレーターとは、2つの移動平均線の差を示す指標のことで、以下の3種類があります。

  • APO(Absolute Price Oscillator)
  • PPO(Percentage Price Oscillator)
  • DPO(Detrended Price Oscillator)

 一般にプライスオシレーターというと『PPO』を指し、APOはPPOの原型となった指標です。

 それぞれの特徴を簡単に説明すると、APOは短期EMAと長期EMAの差、PPOはその差の割合を示しています。

DPOの考え方

 ダウ理論においても言及されていますが、長期周期のサイクル(レートが上下する周期)の中には短期的な周期のサイクルがあります。

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 DPOでは、指定した任意の期間より長いトレンドの影響を排除することで、短期的な売買の加熱具合を数値として示します。

DPOの計算方法

 DPOは、期間を『N』とすると、以下の計算式によって導き出されます。

DPO = 当日の終値 - 期間(N÷2+1)前の単純移動平均

 これは要するに、期間(N÷2+1)前の移動平均からどれだけ離れているかを表しているということで、期間『N』は、多くの場合において21よりも短い期間が用いられます。

DPOをバイナリーオプションに活用する

 DPOをバイナリーオプションに活用するには、まずどのようなシグナルがあるのかを把握しなければなりません。

 DPOで確認できるシグナルは、上昇時は、

  • 0ラインを超えて下落したあと、0ラインを上に突き抜ける
  • 売られ過ぎの水準を下回ったあと、その水準以上に反発

 となり、逆に下落時は、

  • 0ラインを超えて上昇したあと、0ラインを下に突き抜ける
  • 買われ過ぎの水準を上回ったああと、その水準以下に反発

 となっています。また、両方に共通して現れるシグナルに、レートの方向とDPOの方向が相反している『ダイバージェンス』もあります。

 これらを元に、実際に過去のレートから、エントリーポイントの例を挙げてみましょう。

エントリーポイントの実例

 以下は、2022年2月24日のUSDJPYの1分足チャートと、期間14で設定したDPOの画像です。使用ツールはMT5。DPOの表示は上部バーの『挿入→インジケータ→カスタム』から行います。

DPO

 0ラインを突き抜けたタイミングの3箇所に、それぞれ緑色のラインを引いています。ご覧の通り、そのポイントを堺にレートがそれぞれシグナル通りの方向に動いています。

 勿論、全てがこのようにシグナルに従うわけではありません。事実、画像においても、他にも0ラインとクロスしたタイミングはありますが、すぐにまた反転したり、そもそもシグナルに反した動きを見せたりしています。

 また、全般に、シグナルから5本前後ローソク足が出現した時点で、レートの方向が反転する傾向も見られます。そのため、ハイロードットコムの3分取引など、極めて短期で決済を迎える取引では、有用な分析手法となり得ると考えられます。

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 反面、トレンドが生じているとき(上図の左側、2本目の緑線までの間)は、DPOは機能しているとは言い難い状態です。これはオシレーター系指標全般にいえることで、オシレーター系指標は、トレンドが発生している状況下ではほとんど役に立ちません。

 トレンド発生時は、トレンド系指標を活用して分析を行うようにしましょう。

まとめ

  • DPOは短期間の売買の加熱具合を見る指標でプライスオシレーターの1種
  • 3分取引など、超短期取引で有用か
  • トレンド発生中には役に立たない

 実は、DPOには『ダマシの発生が多い』という弱点があります。また、類似したデータを表示する『移動平均乖離率』というインジケーターがあり、こちらも同様ダマシはよく現れるものの、DPOよりも分かりやすく、使い勝手がいいとされます。

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 加えて、バイナリーオプションは順張りのほうが利益を出しやすい取引です。しかし、DPOを活用する場合どうしても逆張りになるため、安定力にも欠いていると思われます。

 とはいえです。短期取引に特化した分析手法というのはあまりありませんので、新しい手法を試したい場合や、順張りで上手くいかない場合などで、試してみてはいかがでしょうか。

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