アノマリーでバイナリーオプションは攻略でき……ません!

UPDATE:2022/05/24

 以前、バイナリーオプションの取り組み方の1つとして、市場が活発な時間帯を利用するという記事中、『ゴトー日』について触れました。

ゴトー日などバイナリーオプションで活発な時間帯を見計らって取引する

ゴトー日などバイナリーオプションで活発な時間帯を見計らって取引する

 その際に、『ゴトー日はアノマリーである』とお伝えしましたが、では、このアノマリーとは具体的にはどういったものでしょうか。

 プロトレーダーでも注目しているものもあるというアノマリーについて、その具体例などを取り上げつつ、バイナリーオプションで利用できないか、探っていきたいと思います。

アノマリーとは

 アノマリーとは、『異常』や『例外』、『特異』を指す英単語で、金融業界では理論では説明できないものの、市場を動かす経験則や現象のことを指します。

 アノマリーの中には、説明されるとなるほどと納得できる理由付けがされているものもありますが、明らかに相場とは関係のない事象であるにも関わらず、統計的にはそのタイミングで相場が動いているものもあります。

 普通であれば、確実性の低く論理的根拠のない単なる経験則が、本来の市場に反映されるなど、考えられないことと思われるかも知れません。しかし、相場は全ての事象を織り込むとされているように、アノマリーも、決して完全には無視できない要素といえます。

 ある特定のアノマリーを信じるトレーダーが多数派ならば、その経験則通りに相場が動くことになります。長年に渡って信じ続けられてきたものほど、当然ながらその傾向は強くなります。

アノマリーの具体例とバイナリーオプションでの利用

 アノマリーには具体的にどのようなものがあるのか、有名なものをいくつかピックアップいたしました。中には『そんな馬鹿な』というものも含まれますが、現実としてそういう状況が生じている点を加味しつつ、ご覧ください。

 以下のものは、原則としてドル円におけるアノマリーを取り扱っています。

ジブリの呪い

 金曜ロードショーでジブリ映画が放送されると、放送日翌日以降の最初の取引日に円高が起きる。

 日本国内、ひいては世界的にも有名となったアノマリーの1つです。

 金曜ロードショーといえば、日本テレビが毎週金曜日21時から放送している映画番組。そしてジブリ映画といえば、いわずと知れたスタジオジブリが制作した映画のこと。為替どころか、金融商品全体にすらかすりもしていませんが、一時期は注目する個人投資家が多いアノマリーでした。

 内容は上記の通り。ことの発端は、2006年に『天空の城ラピュタ』が放送された際に、『ジブリの呪い』という言葉が散見されだしたとされています。その後2013年に『ウォール・ストリート・ジャーナル』が報じたことをきっかけに、大きな話題となりました。

 さて、金曜日で為替市場に影響を及ぼすものといえば、何があるでしょう――そう、毎月第1金曜日に発表される『米国雇用統計』です。

米国雇用統計とは?バイナリーオプションでも重視すべき指標か?

米国雇用統計とは?バイナリーオプションでも重視すべき指標か?

 この雇用統計発表とジブリ映画の放送が重なった場合、相場が一層荒れるとされています。

 ……実際のところ、どうなのでしょうか。2015年から2021年にかけての『金曜ロードショーでジブリ映画が放送された日』と『米国雇用統計発表』をざっくりと見てみた結果、特段そのような傾向は見られず、むしろやや円安気味な印象を受けました。

 変動幅が大きいというわけでもなく、平穏そのもの。どうやらこのジブリの呪いは、所詮はただの都市伝説だったようです。

 それもそのはずで、ジブリの呪いは、2010年からの3年間に限定して観測された事象です。この期間中、第一金曜日にジブリ映画が放送されたのは10回を数え、内9回に渡り、円高ドル安の動きが見られたとのこと。確かにそれだけ続けば、何かしらオカルト的な何かを見出しても仕方がないことでしょう。

 現実には、バルスでどこかしらのサーバーが落ちることはあっても、それが原因でドル円が暴落することはありません。それよりも純粋に、雇用統計の結果如何での乱高下のほうがよっぽど気にするべき事象です。

 2022年5月6日が、金曜ロードショーで『崖の上のポニョ』が放送され、同時に雇用統計の発表日でもありました。

 蓋を開けてみれば、雇用統計の数値は概ね事前予測どおりで、21時から23時の間で50銭程度の振れ幅はあったものの、それまでの流れに影響をおよぼすことなく、その後は上昇トレンドを引き継いでいます。

GWの円高

 GW中は急激な円高が進むというアノマリーがあります。通称『円高パニック』とも呼ばれるこの自称は、2008年から2011年の4年連続で生じました。

 この期間中、ドル円が最大で5円程度急落しています。この主因としては、『円売りのポジション逆流』と考えられており、それまでのポジションがドル買い円売りに傾斜した反動であるとされています。

 そして2022年4月時点で、この『ドル買い円売りへの傾斜傾向』が強く見られています。加えて、GW中の5月4日には、米連邦公開市場委員会、GW開けの6日には雇用統計発表が控えています。GW中にバイナリーオプションに取り組む際には、この点について少し注意しておいたほうがいいかも知れません。

 GW突入前日の4月28日、日銀の金融政策決定会合において、従来どおりの路線、すなわち継続的な金融緩和が発表されました。それ自体はすでに相場に織り込まれていると思われましたが、発表直後に急激に円安が進み、一時1ドル131円台に突入しています。

 その後はじわじわと値を戻し始めましたが、130円台はなかなか割り込まず、レンジ相場を形成。そのままGW中はその傾向が続くかと考えられた矢先、FOMC(連邦公開市場委員会)において利上げの継続が決定し、一時的にレンジを上抜け。しかしその直後には、その利上げの数値が予測よりも低かったことから急落、一時、128円台後半にまで円高が進行しました。

 では全体的に円高進行だったのかというと、最終的には130円前後にまでレートが戻ってきていることから、2022年のGWにおいては、GWの円高アノマリーは当てはまらなかったといっていいでしょう。

月毎のアノマリー

 ジブリの呪いはあまりにもオカルトに寄りすぎているアノマリーですが、そうでないものも存在します。これからご紹介するものは、絶対にこう動くというものというわけではありませんが、十分に注意して然るべきアノマリーも含まれますので、取引の際には多少なりとも気にかけるようにしましょう。

1月

 1月の相場は、その1年全体の方向性を決めるといわれています。また、第1週目の方向性が1月全体の方向性を決定づけるともされており、統括すれば、第1週目の値動きが1年の動きを指し示すと考えることもできます。

2月

 2月は月初めから月末にかけて下落しやすい月とされています。これについてはある程度納得の行く理由があり、米国債の利払いなどによって受け取ったドルを円に替える動きなどが要因となると考えられています。

 節分天井彼岸底という言葉もありますが、これは、『節分(2月3日)に高値を、彼岸(18~24日)に安値をつけるといいう格言。米国債の利払い日が15日であることを考えると、注視しておいてもいいアノマリーといえるのではないでしょうか。

3月、4月

 3月は円高ドル安が進みやすい月です。これは、日本国内の企業が年度末決算のために円の回収に動くため。逆に4月は、新規の外貨投資が増加し、円安ドル高に進みやすいとされています。

 もっとも、これはあくまで平時における傾向であり、2022年のような、『新型コロナウィルスまん延』『ロシアのウクライナ侵攻』といったある種の異常事態においては、適用されません。

 日米の経済政策の違いもあって、2022年は3月、4月ともに円安ドル高となりました。

5月、6月

 5月には『Sell in May』という格言が有名です。これは、全文を『Sell in May and go away; don’t come back until St Leger day』といい、『5月に全て売り、9月第2土曜日の競馬レース(セントレジャーステークス)まで帰ってくるな』ということです。

 とはいえ、これは主に株での話。加えて、この格言は日本の市場にはさほど当てはまらないようです。

 ただし、例年として市場のムードは売り方向で、ドル円も下落基調になりやすいと見られます。そのまま相場の転換点となりやすいのも、5月のアノマリーとして知られています。先述の『GWの円高パニック』も5月に生じる点からも、全般として5月は円高基調と考えていいのかも知れません。

 続く6月も相場の転換点と考えられており、その年の高値、安値をつける可能性が高いともいわれます。

7月、8月

 この時期は夏枯れ相場といわれており、夏季休暇で市場参加者が減少し、値動きが鈍くなると見られています。日本では夏休みといえば学生以外にはほとんど関係のない話ではありますが、アメリカでは割りとしっかり夏休みを取るケースが多いようです。

 一般的には、7月には円安方向に進み、日本でお盆休みがある8月には、円高方向に動くとされています。

 ただし、7月のアノマリーに関しては、リーマンショック以降は影響力が低下しているようです。

9月、10月

 9月の相場は大きなトレンドを形成しやすく、そのまま10月、場合によっては11月までそのトレンドが継続する傾向が見られます。

 ドル円に関しては、企業の中間決済があるため、円高傾向に動くと考えられています。また、アメリカにあるアノマリー『10月効果』によれば、10月は株価が底をつけやすく、その影響でドル安が進む傾向もあると判断されています。

 過去、株の大暴落が起こった『世界大恐慌』『第1次オイルショック』『ブラックマンデー』『リーマンショック』は、全てこの10月に起きています。これにより株価の下落に対する警戒色が強まるのが、10月効果です。

11月

 11月には9月からの長期的なトレンドが終焉を迎え、月末にかけて反転する可能性が考慮されます。

 先だっての『Sell in May』では、9月に戻ってこいという格言の落ちがありましたが、先述の通りアメリカのアノマリーには『10月効果』があるため、11月に本腰を入れるトレーダーが多いようです。

12月

 年末となる12月は荒れやすい相場を作る傾向があります。

 アメリカでは、年末のクリスマス休暇に向けて市場が徐々に閑散としてくるため、ドル円のトレンドは生じにくくなります。また、参加者が少なくなれば、少しの材料で値動きが発生しやすくなることもあり、これが12月が荒れる根拠となっています。

まとめ

  • アノマリーとは、根拠はないが値動きに影響を及ぼす事象の総称
  • ジブリの呪いなどのオカルト的なものから、ある程度もっともらしい根拠があるものまで様々

 ここまでお読みいただいた結果、こう思われたことでしょう。

 バイナリーオプションで活用のしようがなくないか? と。

 確かにその通りかと思います。別記事にて紹介した『ゴトー日』や、最早ただの都市伝説である『ジブリの呪い』はともかくとして、今回触れたアノマリーは、いずれも長期的な相場の動きにかかわるものばかりで、超短期取引たるバイナリーオプションに活用するのはなかなか難しいのではないでしょうか。

 実際、『アノマリー バイナリーオプション』でGoogle検索をかけても、胡散臭いツールの宣伝が多く、他はゴトー日に触れているものが大半を占めています。結論、バイナリーオプションでアノマリーを活かすなら、ゴトー日以外にはないということではないでしょうか。

 ただ、こういうものがあるという知識を得ておくのは大切です。多少なりとも知識を入れておくことで、予想に反した動きを見せたときや、不審なツールに出くわしたときの対策をする余地が生まれるからです。

 バイナリーオプションではアノマリーはほとんど使い道がない最も有効なのは結局テクニカル分析であることをしっかりと念頭に置いておきましょう。『アノマリーで無裁量トレード』だとか、『投資の知識がなくても経験則で利益が出る』だとか、そんな甘言に騙されませんよう……

 第一、アノマリーはあくまで『それまでそういう風に動いていた』というだけの話に過ぎません。事実、2022年3月は、3月は円高が進むというアノマリーに反して円安が進行し、一時125円台に突入しています。

 そのような不確実なものに重きを置きすぎると、出せる利益も出せなくなります。自分の裁量で根拠のあるエントリーと、着実な利益の積み重ねを繰り返しましょう。

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