バイナリーオプションを悪用する詐欺事例から詐欺の見分け方を学ぶ
UPDATE:2022/05/26
こんなことを、聞いたことはありませんか?
「バイナリーオプションは詐欺だからやめとけ」
バイナリーオプション自体は、決して詐欺ではありません。国内においても、取引方法などに制限があるとはいえ、多くの業者があるわけですから。もしバイナリーオプションが詐欺だというのなら、国が詐欺行為を許可したというとんでもない話になってしまいます。
国内でバイナリーオプションを提供している代表的なブローカーは、以下のとおりです。
- 外貨ex byGMO オプトレ!(GMO)
- GMOクリック証券外為オプション(GMO)
- 楽天証券らくオプ(楽天)
- みんなのオプション(トレイダーズ証券)
- 外貨NEXTバイナリー(外為どっとコム)
- LION BO(ヒロセ通商)
- IGバイナリーオプション(IG証券)
では、何故バイナリーオプションは詐欺だと、バイナリーオプションはやめとけと言われるのか。
本記事では、そんな疑問に答えるべく、バイナリーオプションを悪用した詐欺の手法や、詐欺を見分ける方法を調査した結果をご報告します。
バイナリーオプションを悪用する詐欺の手口
それでは、バイナリーオプションがどのような形で詐欺に悪用されているのか、見ていこうと思います。
また、実際に起きた詐欺事件についても、いくつか触れていきます。
SNSを通じて近づいてくる自称講師
インスタグラムなどのSNSで、山積みの札束の写真や派手な生活、LINEでのやり取りを載せているアカウントを見かけることがあります。
そこに掲載された札束が、本当にその人物が稼ぎ出したものならばすごいですが、そんなものはいくらでも偽造が可能です。
加えて、そういうアカウントは『バイナリーオプションの講師をしています』などの自己紹介を載せている場合、十中八九、いえ、確実にそのアカウントは詐欺を目的としています。
こういったアカウントには近づかないほうが吉。万が一フォローでもしようものならば、DMで言葉巧みに誘導され、いつの間にか相手のペースに飲まれてしまい……
SNSからの誘導を狙う詐欺師は、よく以下のような文言を使います。
- 簡単にお金を増やせる方法を特別にお教えします
- 今なら限定○名の方に、無料でセミナーを開いてます
- 本気で稼ぎたい方や初心者の方にも多く来ていただいています
- 今まで稼げていなかった方も、しっかりと稼げています
これだけ見ると、「そんな馬鹿な」とお思いでしょう。しかし相手は、特別感を演出したり、他にも多くの人が参加しているように装ったりなど、あの手この手を駆使してきます。
最終的には、「実はもっと稼げる方法があるんですけど――」などと切り出して、金を支払わせようとしてくるのです。
あるいは、「月額○円で、稼げるエントリーポイントをリアルタイムでお伝えします」などと言ってくる場合もあります。いずれにせよ、詐欺であることに変わりはありませんが。
これはあくまでほんの一例です。
もっと大雑把に、『SNSで金の話は基本全部詐欺』としてしまっても、一向に構いません。
絶対に勝てると言って売りつけられる高額なゴミ
同様のパターンとして、無駄に高い勝率を標榜している取引用のツールを売ろうとしてくる場合もあります。
通常、バイナリーオプションで使用されるテクニカル分析は、どれだけ緻密に分析したとしても、的中率100%はあり得ません。一般に、どれだけ優れたシグナルツールでも、的中率は6割程度とも言われています。つまり、絶対に勝てると言っている時点で、嘘まみれです。
まあそれでも、システム上はしっかりとテクニカル分析出来ているのならよしとしましょう(いやよくはありませんが)。
最悪の場合、エントリーのサイン自体がなんの根拠もないものだったり、そもそも提示された勝率の前提条件が、マーチンゲール法など非常にリスキーなものだったりして、いよいよもってクソの役にも立たないものの可能性すらあります。
マーチンゲール法とは、負ける度に掛け金を倍にしていくことで、最終的に儲けを出そうというギャンブルの手法です。
分かりやすく言えば、『倍プッシュ』です。
ペイアウト倍率が2倍以上で、運営側が禁止していないのなら、予測を外し続けていてもいずれは利益が出るでしょう。ですが、そもそもの前提である『ペイアウト2倍以上』で取引できるバイナリーオプションは非常に限られており、マーチンゲール法も、禁止としているところが多いです。
加えて、マーチンゲール法自体それなり以上の資金力を必要とする戦い方で、非常にリスキーな手法でもあります。

バイナリーオプションでマーチンゲール法は絶対ダメ!
近頃は、マーチンゲール法がハイリスクである点や、そもそも多くで禁止されている手法であることが知れ渡ったためか、『マーチンなし』を謳う連中も増えています。ですがいずれにせよ、根拠のない高い勝率は信用する価値のないものですので、ご注意ください。
BO業者自体が詐欺業者の場合もある
ここまでは、バイナリーオプションの業者に関係のない詐欺の手法について触れてきました。
ですが時として、バイナリーオプションのブローカーが詐欺集団そのものであることも、残念ながらあります。
ハイロードットコムやファイブスターズマーケッツなど、同じ名前、あるいは変名していてもすぐに過去の名称が辿れて、運営歴が長く、会社情報もすぐに詳細を確認できる場所は、信用できるブローカーといえます。ですが、会社情報があまりにも簡素であったり、運営歴がそれほどないのに妙に成功者の話が多い場合などは、警戒したほうがいいでしょう。
他にも、利用規約などに、
- 随分と厳しい出金条件(100万以上から受け付けなど)
- 取引開始に必要な入金額が高い
と推測できる記述があったり、口座解約のやり方がどこにも載っていないなど、注意を払うべき要素はいくつもあります。
これは、金融庁に届け出がされているかどうかは関係ありません。
代表的な詐欺事件
それでは、これまでにニュースやSNSなどで話題になった、バイナリーオプションに関連する詐欺事件をご紹介します。
オプザイル
バイナリーオプションを巡る事件として最も有名なものは、やはり『オプザイル』ではないでしょうか。
SNS(連中の場合は主にTwitter)で派手な生活を見せびらかし、興味を持って近づいてきた人間と直接会ってバイナリーオプションの話を持ちかけ、シグナルツールを30~50万で売りつけるという、クソの手本みたいな手口によって、多くの若者が被害に遭いました。
このときに、USBメモリ経由で売られていたシグナルツールは、専門家の分析によれば、
- 海外の無料ツールを少しいじっただけの二次販売
- 付属のマニュアルには基本的なことしか書いていなく、専門用語の誤記も多い
- 仮にツールやマニュアルに従って取引しても利益は出ない
という有様だったようです。
ちなみに『クソの手本』と先述しましたが、実際、連中が原因となって詐欺ツールの販売が流行ってしまったというオチがついてしまいました。
2016年には連中について不審に思った個人投資家が蜂起し、オプザイルのメンバーであるTwitterアカウントを通報、更にNHKで特集が組まれ世の知るところとなり、その結果活動を終えました。
……が、実は今でも、名前を変えて活動を続けているという噂もあります。主戦場を仮想通貨市場に移しているという話もありますが、今でもツールの販売を続けているとも言われています。
オプザイルの語源はご存知EXILEですが、こんな連中に少しでも絡められるEXILE側からしたら、溜まったものではなかったでしょう。
元SKE48メンバー逮捕
こちらは2021年に発生した事件で、手口は諸々オプザイルと似たりよったりの、いわば目くそ鼻くそです。勧誘した場所がSNSか出会い系サイトかの違いくらいしかありません。
話題となった理由は、元SKE48メンバーの山田樹奈が、容疑者として逮捕されたから。当時、一瞬だけですが、5chのバイナリーオプションスレでも話題になっていました。
その後件の容疑者には、2021年12月2日に、懲役1年6ヶ月、執行猶予4年の有罪判決が下されています。
岡山バイナリーオプション情報商材詐欺事件
こちらは2020年の事件です。手法も代わり映えなく、違いらしい違いは勧誘の舞台がマッチングアプリになったことと、販売していたのがシグナルツールではなく情報商材という点くらいのもの。
情報商材そのものには違法性はありませんが、悪用する者は跡を絶ちません。この事件では、全国で約450人もの被害者が確認されており、被害総額3億5千万円にも上っています。
詐欺から身を守る方法
誰もがどこからでもネットに繋がれる時代になり、あらゆるものとの距離が近づきました。ですがその結果、詐欺師に遭遇する可能性も、上がってしまいました。
今や、誰でも詐欺に遭う時代です。実際に被害に遭う前に、しっかりと対策しましょう。
うまい話の裏を見る
――誰でもバイナリーオプションで勝てるようになるシグナルツールや手法。そんなものをもし手に入れたら、貴方ならどうしますか?
ツールや情報に高い値段をつけて販売しますか?
答えは違うのではないでしょうか。そんなものがあるなら、自分で使って利益を独占しようとするでしょう。仮に誰かに教えたとしても、相手は極々親しい人間に限定するのではないでしょうか。
手に入れたものを有効活用して100万円を稼ぐのと、10万円の値をつけたものを10人に売るのとでは、あまりにも効率が違いすぎます。
彼等がその手法そのものを売っているのは、自らが稼げていないので、別の方法で金稼ぎしようとしているだけに過ぎません。
「もう十分に稼いだから、その方法を誰かに渡そうとしているだけじゃ?」
これもあり得ません。もしそんな聖人君子じみた思考の持ち主なら、そもそもそのツールなり手法なりに値段をつけません。
第一、安定して利益が出るのなら、『十分稼いだ』なんて考え自体にたどり着かないでしょう。取引が強制的に止められでもしない限り、稼ぎ続けます。
そして取引が止められたとしても、他の業者を利用すればいいだけです。
もし、SNSなどで『絶対に勝てる、楽して稼げる方法を○円で売ってあげる』なんて言われても、耳を傾けないでください。返事自体、しないでください。ほんの少しでも反応すれば、それを足がかりに、奴らは距離を詰めてきます。
冷静に考えれば、それが詐欺だということはすぐに分かるはずなのです。
ですが奴らは、言葉巧みに誘惑し、判断力を鈍らせ、自身に心酔させてこちらを操ろうとしてきます。
いくら警戒心が強かろうが、詐欺に対する知識や対策が万全であろうが、関係ありません。
徹底的に無視すること。それが重要です。君子危うきに近寄らずの精神でいきましょう。
そもそもとして
バイナリーオプションを専門に取り扱う海外業者がどうやって運営資金を得ているのかを考えれば、そもそも勝てる手法を売り渡すことに何のメリットもないことはすぐに分かります。
バイナリーオプション業者の運営資金は、取引に負けたトレーダーから回収したポジション代から捻出されます。より正確には、回収したポジション代を、取引に成功したトレーダーに分配した後に残ったものが、業者の利益となります。
つまり、バイナリーオプションで全員が勝ち続けると、あっという間に業者の財政が破綻し、取引自体が不可能になるのです。もし仮に、本当に勝てる手法を持っているのだとしても、それが多くの人間に知れ渡ってしまうのはデメリット以外の何物でもありません。
情報をしっかり調べる
バイナリーオプションに限らず、為替レートは生き物=完全な予測は不可能ということは、少し調べればすぐに分かることです。
それに加え、本記事のように、バイナリーオプションに関する詐欺情報は、様々なサイトやブログで出回っています。
また、そもそもバイナリーオプションや為替に対する知識が不足していると感じるなら、まずその補強を行いましょう。
ただし、調べる際には、SNSの情報は鵜呑みにするべきではありません。
何故なら、先述したとおり、SNS自体が詐欺師の狩場になっているからです。
本当に本当の初心者ならば、まずは信頼性が高い文献に触れることをオススメします。もし経済学部がある大学に通っているのなら、そこの教授を頼るのもいいでしょう。
ネットは真実虚実入り乱れる魔境であることを、お忘れなきよう。
もし詐欺に遭ってしまったら
どれだけ気をつけていても、不幸にもうっかり詐欺に遭ってしまうこともあります。
もしバイナリーオプションに関する詐欺被害に遭遇した場合、どう行動すべきでしょうか。
金融庁の利用者相談室に問い合わせる
金融庁のHPには、金融サービス利用者相談室が設置されています。
こちらのサイトの冒頭を、抜粋させていただきます。
・SNSやマッチングアプリなどで知り合った個人から投資勧誘を受けた
・知人から情報商材や投資セミナーの紹介を受けた
・「必ず儲かる」「元本保証」などと言って株式、社債、暗号資産(仮想通貨)などの取引を持ち掛けられた
などの場合は、すぐに話に応じず、まずは金融サービス利用者相談室までご相談ください。
電話では平日の日中のみの対応ではありますが、ウェブ経由の問い合わせは24時間受け付けている他、相談事例も紹介されていますのでご活用ください。
基本的に、金融庁では海外バイナリーオプションの利用を推奨していませんが、相談を受け付けていないわけではありません。
ただし、詐欺師に騙し取られた金を、金融庁が取り返したり補填したりしてくれるわけではありませんし、海外バイナリーオプションに関わる問題は、国内の登録業者を利用した際の問題よりも対応が難しいことになるでしょう。
国民生活センターに相談
国民生活センターでも、相談を受け付けてくれます。
基本的には平日のみの受付ですが、消費者ホットラインを使えば休日でも相談が可能です。
弁護士に相談
相談費用が発生してしまいますが、詐欺に関する実績のある弁護士に相談するのも有効です。
場合によっては相談料無料のところもありますので、探してみてはどうでしょうか。
先述の国民生活センター共々、海外バイナリーオプションの利用そのものに違法性はありませんので、包み隠さず相談して問題ありません。
まとめ
- 『必ず儲かる』や根拠なく高い勝率を謳うものは全て詐欺
- 勝てる手法を他人に教える人間などそもそもいない
- バイナリーオプションは負ける人間がいるから成り立つ取引であるとしっかり認識せよ
先程も触れましたが、本記事のようなバイナリーオプションの詐欺に対する対策情報は、探せばいくらでも出てきます。
それでも、被害に遭う方は未だに出続けています。
それは、『自分は大丈夫』という慢心や、『この人なら信用できそう』という根拠のない感覚に従った結果です。
騙されるほうが悪いなんていうつもりはありません。詐欺は騙すほうが絶対的に悪ですから。
ですからせめて、これをお読みになった方が詐欺に遭ってしまわないよう、祈るばかりです。