マルチタイムフレーム分析はバイナリーオプションで必要?それとも意味ない?

UPDATE:2022/04/12

 マルチタイムフレーム分析というのをご存知ですか? 近年、やけに持て囃され持ち上げられる分析手法ですが、一方で、マルチタイムフレーム分析は意味ないとする声も多く上がっています。

 今回は、このマルチタイムフレーム分析についてご紹介しつつ、本当に有用な手法なのか、それとも意味のないものなのか、そしてバイナリーオプションではどうなのか、考えていきたいと思います。

 先に結論から。

 マルチタイムフレーム分析は、意味がないとまでは言いませんが、少なくとも『バイナリーオプションやFXでは必須!』というほどのものではないと思われます。

 中にはテクニカル分析よりも先に覚えるべきという意見も見られましたが、そもそもテクニカル分析の技術がなければ分析のしようもありません。テクニカル分析をしっかりと身につけてから、他になにかプラスアルファで技術を手に入れたいといった場合に、検討する程度でいいと考えます。

マルチタイムフレーム分析とは

 マルチタイムフレーム分析(MTF分析)とは、複数の時間軸を照らし合わせ、複合的にチャートを分析する方法のこと。

 例えば、こちらを御覧ください。

マルチタイムフレーム分析のサンプル

 こちらは、同じタイミングで表示した30分足チャート(左)と1分足チャート(右)です。一緒に短期(緑)・中期(赤)・長期(青)のEMA(指数平滑移動平均線)も表示しています。

 マルチタイムフレーム分析では、より期間の長いチャートから分析を行います。上記でいうと、30分足チャートからですね。

 その理屈で行くと、丁度短期と中期のEMAがゴールデンクロスを形成し、そのまま上昇トレンドが発生しそうです。

 その予測に従うなら、バイナリーオプションでのエントリーは勿論ハイです。MTF分析においては、この上位足で定めたエントリー方向を重視します。

 では、1分足はどうでしょうか。こちらは逆に、短期と中期のEMAがデッドクロスを形成しています。そればかりか長期EMAともデッドクロスが発生しそうです。

 1分足チャートを見る限りでは、明らかにローへのエントリーが正解……ですが、先だって30分足チャートでエントリー方向はハイと定めています。よってここではエントリーを見送り、ハイエントリーのサインが出るのを待つことになります。

 このように、MTF分析では、上位足チャートでエントリー方向を決め、下位足でエントリータイミングを探します。

 上記のチャートがその後どうなったかについては、また後ほど……

有用とする主張

 マルチタイムフレーム分析を必須の分析方法と考えている方々の主張は、大まかに以下のとおりです。

  • 1.大きなトレンドの中に小さなトレンドが繰り返されているのだから、大きな流れに乗るべき
  • 2.時間足は短くなればなるほどだましの可能性が上がるため、上位足を見ることでその可能性を省ける

 1つずつ見ていきたいと思います。

1の主張

 これの根拠は、全ての基本であるダウ理論です。

全ての基本『ダウ理論』とは?バイナリーオプションに応用できるか?

全ての基本『ダウ理論』とは?バイナリーオプションに応用できるか?

 ダウ理論では『トレンドには3種類ある』としています。

 短期的なトレンドは中期的なトレンドの、中期的なトレンドは長期的なトレンドの調整局面で、巨視的には一定の方向に動いていても、微視的には上昇と下降を繰り返しています。

 マルチタイムフレーム分析では、巨視的に見たときの流れでエントリー方向を決め、微視的に見たときに同じ方向に動いた際にエントリーするという考え。問題なく理屈は通っているといっていいでしょう。

2の主張

 これも、1つの真実です。

 もともと、チャートを分析する手法は、ダウ理論を始め日足がベースとなったものばかりです。

 テクニカル分析の解説系のサイトにおいて、期間の部分を『○日』と書いているのもそのため。

 余談ですが、時間足や分足を見ているのに『○日の移動平均線』などと書いてある場合、なんかこう、もにょります。

 当然、日足よりも期間が短い時間足や分足では、その精度は落ちるでしょう。だましが多くなるのも仕方がないことです。そのだましを回避するためにマルチタイムフレーム分析を用いるのは、理に適っています。

無用とする主張

 では、マルチタイムフレーム分析は意味ないと主張する方々の根拠は、どこにあるでしょうか。

 実は、無用というのはいささか語弊のある言い方で、多くの場合、

  • 馬鹿の一つ覚えでMTF分析MTF分析といっているだけでは何の意味もない

 といった具合に意訳されます。細かく見ていきましょう。

日足より短い時間足の精度を上げるためなら

 多くのテクニカル分析は日足をベースにしていると先述しました。これはつまり、日足以上でテクニカル分析を行う分には、マルチタイムフレーム分析は不要とも言い換えられます。

 もっともこれは、バイナリーオプションにはそもそも関係のない話。短期取引のバイナリーオプションでは、日足はまず見る機会はありませんから。

ごく短期的な取引でも役に立たない

 では、バイナリーオプションの主戦場である超短期取引の場合はどうなのか。

 上のほうでお見せしたチャートをもう一度どうぞ。

マルチタイムフレーム分析のサンプル

 このあとこのチャートは、どう動いたでしょうか。

チャートの結果

 結果はこちらの通り。30分足チャートはレンジ相場となり、1分足チャートは下降トレンドを形成しました。

 ……この分析に、マルチタイムフレーム分析は必要だったでしょうか。

 勿論、「そもそも上位足でトレンドが発生していない!」など意見は様々でしょうが、必要不要でいえば不要だったのではないでしょうか。

 ダメ押しで、こちらもどうぞ。

マルチタイムフレーム分析のサンプル2

 こちらは、EMAに加え『MACD』『RSI』『オーサムオシレーター』を追加したチャートです。1分足チャート、RSIはやや売られすぎを示してはいますが、それ以外は全て、レートの下降を示唆しています。

 この『レートは下降する』という予測に、少しでもマルチタイムフレーム分析が入り込む余地があったでしょうか。

 いや、そもそも。日足よりも精度が劣る時間足よりも更に精度が低い分足をいくら重ねて見たところで、そこに現れる影響は一体どれほどのものなのでしょうか。

 そして、1時間未満の短期的な取引で、1日の値動きを見る合理的な理由があるでしょうか。

完全に不要とはいっていない

 マルチタイムフレーム分析を『全く意味がない』とするものは、実はほとんどありませんでした。

 ただ多くの場合、『理由もなく、単にそういう情報を見たからというだけのことなら、使う価値はない』と結論付けられています。

 実際、マルチタイムフレーム分析を使うことで分析の根拠が補強されるのなら、使うべきです。その判断は各々がする必要がありますが。

 FXの場合、日足でトレンドの発生や転換点を確認した後、エントリーポイントを探すために1時間足など下位足を見ることはままあります。

 また、長期的に上昇トレンドが生じているときに買いポジションを建てておけば、短期的には高値掴みであったとしても、将来的には利益が生じる可能性が十分に残ったまま、ポジションを保持し続けられます。

 ……ただ、個人的には、バイナリーオプションでマルチタイムフレーム分析は必要ないと判断します。

まとめ

  • マルチタイムフレーム分析とは異なる時間足を見比べて分析を行う方法
  • テクニカル分析は日足を基準とするため、それ以下の時間足分析には有効
  • ただし、バイナリーオプションはメインが分足のため、ほとんど役に立たない

 実は本記事。初回投稿とは全く違う内容となってしまいました。

 というのも、投稿時に自分の書いた内容がどうにも腑に落ちず、改めてマルチタイムフレーム分析について調べ直したのです。その結果、今回のような内容と相成りました。

 バイナリーオプションにおいては、マルチタイムフレーム分析は有用とはいえません。マルチタイムフレーム分析に固執するくらいなら、テクニカル分析の精度を上げていきましょう。

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