バイナリーオプションで白川術は本当に有用な手法か否か
UPDATE:2022/12/22
バイナリーオプションにおいて、『白川術』というものがあるようです。曰く、難しいことを抜きに手順を守るだけで勝率80%出せるという手法なのだそうですが……
色々と見て回った結果、白川術という手法自体には真新しさはなく、状況次第では確かに利益が期待できるものの、勝率80%という数値には大いに疑問があると考えられるものであると判断します。
では、そもそも白川術とは何なのか、白川術を用いてバイナリーオプションに取り組むメリット、デメリットについて、見ていきましょう。
バイナリーオプション攻略法『白川術』とは
場所によってはやたらとおすすめされるこの白川術、果たしてどのような代物なのでしょうか。
白川術とは、『白川栄二という人物が冗談交じりに名付けた手法』であり、その具体的な手法は、
- 取引はUSD/JPY1分取引(ハイロードットコムにおけるターボ取引)
- タイミングはゴトー日の仲値前
- 9時50分00秒から54分00秒までの計5回、コールオプション(ハイエントリー)を取る
という内容。
……はて、これ、単にゴトー日の仲値決定前の円安進行を狙ったアノマリー利用のトレード手法では?
この点に関しては、元記事を確認したところ、『仲値ゴトー日手法をベースに改良したもの』とちゃんと説明されていますので、別に新しい手法として広めようとした意図は特にないと思われます。ただ、元記事を読んだ新規参入者が、元々ある仲値ゴトー日手法のことを白川術と認識してしまったに過ぎません。
仲値ゴトー日手法について
では、白川術の大元となった『仲値ゴトー日手法』とは一体何なのか。
仲値やゴトー日については、

アノマリーでバイナリーオプションは攻略でき……ません!
こちらの記事にて取り扱っていますので簡単にまとめますと、
- ゴトー日
- 毎月『5日/10日/15日/20日/25日/30日(それぞれ祝日である場合はその前の平日)』の仲値決定に関するアノマリー。USD/JPYの通貨ペアにて特に見られ、仲値決定前には円安方向に、決定後は円高方向に動きやすい
- 仲値
- 金融機関が外国為替取引をする際の基準レート。9時55分における為替レートを参考に決定される
この実需的な値動きに合わせて投機的に取引するのが、仲値ゴトー日手法の概要です。仲値自体は平日は毎日決められていますが、何故上述の日付だけ特別扱いされているかについては、上記記事をご参照ください。
どこを改良したのか
白川術では、果たしてどのように仲値ゴトー日手法を改良したのでしょうか。
実はこれについては、どういう理由で何処を改良したという明確な記述は、見つけられませんでした。よって推察するより他にありませんが、白川術の記述においては、9時55分より以降の円高傾向については触れていない点、最初のエントリーが9時50分で、以降55分に決済されるよう1分取引でエントリーを繰り返すとある点から、
- 狙うのは円安に乗ることのみ
- 00秒エントリーで最大5回の取引を狙う(ただし元サイトには、00秒にエントリーすると記載されているわけではない)
以上2項目が、純粋な仲値ゴトー日との相違と思われます。何故円高には乗らないのかという部分はさておき、ゴトー日の円安傾向は仲値決定が近づくに連れ強まるとされること、1回でまとめてエントリーせずに小分けにして権利放棄に対するリスクヘッジを行っている点は、確かに改良しているようには見えます。元サイトではハイロードットコムを用いて取引を行っており、1分取引と5分取引とでは、ペイアウト率が10%ほど差があることからも、利益面においても5分取引で一括で狙うよりは1分取引を繰り返したほうが効率がいいといってもいいでしょう。
白川術のメリット・デメリット
白川術がバイナリーオプションにおいて有効かどうかは後述するとして、実際に白川術を取り入れることのメリットやデメリットにはどのようなものがあるでしょうか。
メリット
白川術のメリットは主に以下のようなものがあります。
- ハマれば大きな利益が得られる
- テクニカル分析もファンダメンタル分析も必要なし
- 月に最大6回のチャンスがある
これらについてはほぼ先述していますので簡単に振り返りますが、ゴトー日がアノマリーとして広く知られている点から、実際にそのような値動きを見せる可能性は大いにあります。そのため、ゴトー日に合わせた取引は一定以上の有用性があるといっても過言ではありません。
また、タイミングについても何かしら分析を行う必要はなく、ただ機械的にコールポジションを取り続けるだけなため、まだ分析技術が覚束ない初心者の方にとっては、気楽な取引と考えられます。
エントリーの機会がそれなりの数用意されているのもポイントです。
もし白川術を試す際には、いきなり本番の環境で取引するのではなく、まずはデモ取引で自分に合うかどうか試してみましょう。
元サイトではハイロードットコムを利用していましたので、試すならハイロードットコムをおすすめいたします。
デメリット
白川術のデメリットについては、以下が挙げられます。
- 分析技術が身につかない
- タイミングがシビア
- そもそも再現性が……
メリットとして取り上げた『分析が必要ない』ということは、裏を返せば、『白川術ばかり使っていては、いつまでも分析技術が身につかない』ということでもあります。ちょっとした小遣い稼ぎ目的や遊び半分でやるだけならそれでもいいかも知れませんが、本格的にトレードに参加するなら、最低限チャートの見方、経済情報の収集は怠るべきではありません。
タイミングについても、直接言及されているわけではないとはいえ、行間を読めば0秒エントリーを要求されていると読み取ることもできます。であるならば、約定拒否やスリッページが生じた際のリカバリーができません。
0秒エントリーとは、ローソク足の切り替えタイミングに合わせてポジションを建てる手法です。取り入れているトレーダーは一定数いるため、サーバー負荷などに起因する約定拒否が起きやすいともされています。
最後の『再現性』については、後述しますのでここでは割愛いたします。
白川術は有効な手法か否か
上で取り上げたデメリットの内2つついては、正直なところ大したデメリットにはならないとは考えています。
どんなタイミングで取引を行っても約定拒否が起きるときは起きますし、分析技術がなくても利益が出せるならそれでいいではないかとすら思います。
しかし、残る一点、再現性の面から、白川術は手放しでは有効とは言い難い取引手法と考えざるを得ません。
ゴトー日は所詮アノマリー
理屈の上では、確かにゴトー日に企業によるドルの実需売りが発生するため、銀行が仲値決定に備えて円安を進行させるべく動くというのは通ります。しかし、高い確率でこの傾向が見られるかというと、大いに疑問です。
もし、レートが日本の思惑のみに対して反応を示すような特殊な状況下であれば、ゴトー日は確かな手法として広く活用されることでしょう。しかし現実には、そのような状況はあり得ません。むしろ、多種多様な思惑が行き交う中で、日本の企業の影響力がどれほどあるものか……皆無とは言いませんが、結局のところは数ある思惑の1つとして収束します。
以前、アノマリーに関する記事にて、『金曜ゴトー日だけはアノマリーの中でもバイナリーオプションに活用する場面がある』という風に記述していますが、これはあくまでアノマリーの中だけの話です。ゴトー日にこだわる理由は、長期的に見て一切ありません。
勝率80%は出ない
白川術の元記事では、これによって勝率80%出ていると言及されています。が、どう考えても怪しい。
先述の通り、金曜が関わらないゴトー日について、値動きの優位性は見られません。また、金曜ゴトー日に関しても、優位といっても短期的に見て6割程度。長期的に見た場合、これよりも割合が減少すると予見できますから、結局のところは多少利益を出しやすいだけで、80%は盛りすぎです。
実際に氏が本当に80%の勝率を出していたと仮定しても、それはおそらく短期的な勝率でしかありません。短い期間で確率がどちらかに偏るなんてよくあることですし、正確な確率を算出したいなら、試行回数は最低でも1,000回はほしいところ。その辺りの情報は一切見当たらないので、現状では検証不足であると判断されます。
まとめ
- 白川術とは仲値ゴトー日手法のこと
- 白川術に拘る必要はなく、また勝率80%は盛りすぎ
正直なところ、そもそもの仲値ゴトー日手法自体が論理的な手法ではなく、アノマリーに頼った多少利益が出やすいと想定される程度の曖昧なものでしかありません。よって白川術も、その程度の認識で考えたほうがいいでしょう。
すでに堅実な手法で利益を出せているならそちらを続けたほうがいいですし、これから取り組む方もそういった手段を模索したほうが、結果的にしっかりとした利益が出せるのではないかと思われます。提示された高い勝率や手軽さに惑わされず、堅実さを追い求めましょう。