バイナリーオプションの手法『スライド法』の具体的な方法と有効性の検討

UPDATE:2023/02/14

 バイナリーオプションの攻略手法として、スライド法というものがあるようです。

 単に『スライド法』で調べると不動産関係のものが出てきますがこれは別物。誰かが手法を編み出してそう呼んでいるのか、それともギャンブル系手法のようにもともと他の分野で用いられてきた手法をバイナリーオプションに転用しているのかは不明ではあるものの、理屈の上では必勝法として紹介されています。

 今回はこのスライド法の仕組みに触れつつ、本当に有用な手段なのかについて考えていきましょう。

スライド法とは

 スライド法とは、権利行使に至った場合には次の取引のオプションプレミアムを1.25で割り、権利放棄の際には1.25倍にするトレード手法です。

 具体的にどうなるのかというと、ハイロードットコムの最少掛金1,000円を初期投入額と仮定すると、

行使時次回掛金 放棄時次回掛金
1,000円 1,000円 1,250円
1,250円 1,000円 1,570円
1,570円 1,250円 1,970円
1,970円 1,570円 2,470円
2,470円 1,970円 3,090円

 仮にペイアウト率を80%とすると、3回連続で権利放棄となった場合の損失は3,820円ですが、その後掛金1,000円のラインに戻るまで勝てば、約800円の利益が発生します。

 掛金を1.25で割るということはすなわち掛金の80%ということです。つまりスライド法は、直前の掛金を直後の取引で取り戻していくやり方となっています。

 基準となった1,000円より掛金を下げることはないため、1,000円での取引時のペイアウト800円が、利益として保証されます。

 なお、『約800円の利益』としたのは、上記表においては1円単位は掛金を増やす場合は端数切り上げ、掛金を減らす際には端数切り下げを行っているためです。3回連続で権利放棄したあとに4回権利行使した場合、正確には818円の利益が発生します。

大本はマーチンゲール法

 この手法の大本となっているのはマーチンゲール法です。

バイナリーオプションでマーチンゲール法は絶対ダメ!

バイナリーオプションでマーチンゲール法は絶対ダメ!

 マーチンゲール法も理論上は確実に勝てる手法とされていますが、連敗したときのことを考えると莫大な資金が必要で、そもそもバイナリーオプション業者側で禁止されている行為ということで、一切推奨できない手法です。

 スライド法は、マーチンゲールの『負け続ければ一気に損失が膨れ上がる』というデメリットを抑制し、現実的に実用可能なものにした手法ともいえます。

スライド法のメリット・デメリット

 スライド法はマーチンゲール法と比べると、連敗したときの損失の膨らみ方が緩やかです。

 例えば、3回連続で権利放棄となった際の損失額は以下のとおりです。基準額は上記と同様1,000円としています。

スライド マーチン
1回目 1,000円 1,000円
2回目 1,250円 2,000円
3回目 1,570円 4,000円
合計 3,820円 7,000円

 一方で、利益を出すには連敗数+1の連勝が必要であるため、マーチンゲール法のようにそれまでの損失を一気に取り返すことはできません。

 ペイアウト率が2倍未満である場合、マーチンゲール法であっても損失を一度で取り返すことはできません。

 ペイアウト率が1.8倍のとき、マーチンゲール法では4回以上権利放棄が続いたときには、追加の権利行使が必要となります。

バイナリーオプションでスライド法は有用か否か

 スライド法の掛金は『取引量の急激かつ重大な変化』と呼べるほどの変動はないことから、これを規約にて禁じているハイロードットコムでも可能な取引手法と考えられます。

 勿論その判断は運営側に裁量権があるとはいえ、少なくともマーチンゲール法と比べるなら口座凍結のリスクは限定的でしょう。

 ただし、本当に凍結されないのかという点については断言することはできません。もし取引にスライド法を用いる場合は、くれぐれも自己責任にてお願い致します。

他のギャンブル系手法と比べると

 バイナリーオプションでよく耳にするギャンブル系手法として、先述のマーチンゲール法以外に、『モンテカルロ法』『パーレー法』『グッドマン法』があります。

 これらの手法では、前提条件として権利行使時のペイアウトが100%以上というものがあり、利用できる場面が限定されます。

 先例のペイアウト80%というのは海外バイナリーオプションでは概ねどこの業者でも見られる数値ですので、スライド法は他のギャンブル系手法と比較した場合には、バイナリーオプションで活用しやすいといえそうです。

撤退ラインはしっかり決めておくべき

 といっても、連敗すればその分苦しくなることは間違いありません。先述のとおり、スライド法では連敗した分連勝した上で更に1回権利行使に至らなければ、利益が出ないのですから。

 また、マーチンゲール法と比べて損失の膨らみ方が緩やかといっても、あまりに連敗が続けば同じです。ですので、最低限許容できる損失額を想定し、その額に達したときにはスライド法をリセットするなど、撤退ラインはしっかりと用意しておく必要があります。

まとめ

  • スライド法はマーチンゲール法の改良型
  • マーチンと比べて損失は抑えられるが利益を出すのもやや大変
  • 口座凍結のリスクは低いか

 もし実際にスライド法を採用する際には、絶対に損失上限は先に設定するようにしましょう。オススメは5連敗したら一度リセットなど、多すぎずかといって少なすぎない回数です。

 また、実施するならば、ある程度は資金を用意しておいたほうがいざというときにメンタルも安定しやすいと思われます。

 とにかく肝心なのは、通常通りオプション購入時には確かな根拠を持って取り組むこと。それが可能なら、スライド法は一種の保険としてそれなりには有用――といえるかも知れません。

 繰り返しになりますが、スライド法が凍結対象にならないという根拠はなく、運営側の判断次第では1.25倍ずつ掛金を増やすという行為も『急激かつ重大な変化』と捉えられる恐れはあるということをくれぐれもお忘れなく。

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