テクニカル分析がオカルトだというならどうバイナリーオプションを攻略するか?

UPDATE:2022/12/22

 こういう言葉を聞いたことはありませんか?

 テクニカル分析はオカルトである、と。

 様々な投資家によって数多くの手法が考案されてきたテクニカル分析ですが、残念ながら、この言葉は真実であると言わざるを得ません。

 だというのに、何故テクニカル分析は有用とされているのか。今回は、当サイトの主題である『バイナリーオプション』から少し離れ、こちらの点について、触れていきたいと思います。

 テクニカル分析を否定する意図は全くないことをご理解いただけますと幸いです。

テクニカル分析がオカルトである理由

 古今東西、多くの個人投資家が活用しているテクニカル分析。その分析の際に用いられるインジケーターが何を元にしているのか、今一度振り返ってみましょう。

 テクニカル分析とは、過去の値動きを参照し、そのときのあらゆるデータを計算し現在の値動きの傾向を示す手法です。極論すれば、『過去こういった値動きをしており、現在こういった傾向が見られるため、近い将来こう動く可能性が考えられる』程度のもので、その点は『アノマリー』と実は大差ありません。

アノマリーでバイナリーオプションは攻略でき……ません!

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 アノマリーも、やはり『過去このような傾向が見られた、こういうことが起きたときに為替がこう動いた』という情報を元にしています。テクニカル分析は、突き詰めていけば、無数に存在するアノマリーの中から、比較的再現性が高いものを数値化し、グラフ化しているに過ぎないのです。

 このことは、多くの機関投資家や書籍によっても言及されています。

テクニカル分析に潜む罠

 ですが実際には、書店にはテクニカル分析を解説する書籍が多く並び、当サイトのようにテクニカル分析を足がかりとして、バイナリーオプションやFXに取り組む一助としているところも少なくありません。

 それらの多くが、現実のチャート画像とともに、『このシグナルが出たあと、実際にそのように動いた』としています。ですが、それは全て結果論なのです。

 自分でこれまで紹介してきた記事の大半を否定するようでいささか心苦しさはありますが、こういうテクニカル分析の手法があるという前提のもと、それに従う値動きのタイミングを探しているに過ぎません。実際のチャートを見てみれば、シグナルが出ていてもその後の値動きが聞いていた情報と異なる状況は、多々あるはずです。というか、ありました。場合によっては、むしろそちらのほうが多いと感じる程度には。

すでにダウ理論で語られていた

 ですが、冷静に考えればそれは当たり前の話なのです。

 そのことは、チャート分析の源流に位置する『ダウ理論』にて、早々に語られているのですから。

全ての基本『ダウ理論』とは?バイナリーオプションに応用できるか?

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 すなわち、『平均は全ての事象を織り込む』ので、値動きがどうなるかは分からないのだと。であるなら、さも未来を予測できると標榜するインジケーターがオカルトであるとされるのも、当然のことと言えましょう。

 このことから、相場は本来不確実なものであるという立場を取る投資家は『ランダムウォーク派』と呼ばれます。

機関投資家はテクニカル分析を重視しない

 株式の世界の話にはなりますが、機関投資家の大半は、テクニカル分析を全く用いないか、用いても参考程度にしか考えていません。機関投資家が重視するのはファンダメンタル分析で、チャートを見るのは、転換点や売買のタイミングを判断するための補助。まかり間違っても、テクニカル分析のみで莫大な資金を動かすことはありません。

ファンダメンタル分析とは?バイナリーオプションでも通用するか?

ファンダメンタル分析とは?バイナリーオプションでも通用するか?

 ファンダメンタル分析では、多角的な要素から金融商品の本質的な価値を見出し、そこに投資して利益を得ます。以前、『テクニカル分析は過去から近い将来を、ファンダメンタル分析は現在から遠い将来を予測するもの』とまとめましたが、そもそも見ているものが違うのです。

それでも個人投資家はテクニカル分析に頼るしかない

 では、テクニカル分析は無意味なのかというと、それは違います。

 機関投資家は参考程度にしかテクニカル分析を用いないと申し上げましたが、それはつまり、機関投資家であってもテクニカル分析を参考にする部分があるということでもあります。

 また、そのこととは別に、ある2つの側面から、個人投資家はテクニカル分析を用いるしかなく、かつある程度の確実性は担保されるといえます。

ファンダメンタル分析では個人投資家は戦えない

 まず1つは、ファンダメンタル分析に必須の情報収集能力は、機関投資家と個人投資家ではそもそも同じ土俵に立てない点に起因します。

 機関投資家のもとには日々様々な情報が入り、また自らその情報に手を伸ばすことで、個人で知りうるものよりも圧倒的に多く、そして早く状況を分析できます。個人投資家のもとに情報が下りてくる頃には、すでに機関投資家はその後の値動きを織り込んでしまっています。

 もしテクニカル分析が存在しなければ、どう足掻いても個人投資家は機関投資家の餌です。少々語弊はありますが、個人投資家が機関投資家と対等に渡り合うには、テクニカル分析を頼るより他に道はありません。

多くの投資家が参照しているのなら

 機関投資家が動かす資金は個人投資家のそれとは桁が違うため、値動きへの影響は強力です。ですが、例えひとりひとりは少額でも、市場への参加人数という点を考慮すれば、実は動かしている総資金は、機関投資家よりも個人投資家のほうが多くなります。

 その個人投資家の多くがテクニカル分析を重視しているなら、テクニカル分析は最早オカルトではなく、短期的とはいえ確かに価格に反映される確実性のある分析手法であるといえるのです。

 多くの個人投資家がテクニカル分析に従って売買を行った結果、テクニカル分析はアノマリーから脱却できたといえるでしょう。

そもそもバイナリーオプションには関係のない話

 テクニカル分析がオカルトかどうかというのは、実際のところバイナリーオプション、そしてFXにも関係のない話ではあります。

 何故なら、バイナリーオプションにせよFXにせよ、株式投資と比較すれば短期取引であることに違いはないからです(FXでも数年に渡って建玉を保持し続けるケースはあるのでしょうが)。そしてファンダメンタル分析では、短期的な値動きに対応できません。

 そもそも機関投資家は、投機的な取引が法的に許されていないということからも、比較的短期の値動きを追うテクニカル分析は、元々不向きな手法であるということもできます。

 人はテクニカル分析を通して自分が見たいものを見ているにすぎないと言われますが、それぞれが同じものを見ているのなら、それは多数意見として価格に織り込まれて然るべきです。何故なら、平均は全ての事象を織り込むのですから。

まとめ

  • テクニカル分析はオカルトである
  • 機関投資家には重視されていない
  • 個人投資家や投機筋にしてみれば関係のない話

 ランダムウォーク派の方の中には、『チャート分析は馬鹿馬鹿しい』と切り捨ててしまう方もいらっしゃいます。その意見を否定するわけではありませんし、実際機関投資家という立場から見ればそうなのでしょう。

 しかし、短期的に利益を積み重ねていくバイナリーオプションや、比較的短中期で利益を狙うFXでは、ときに多くの個人投資家が参照するテクニカル分析のほうが有効性は高いと考えられます。多くの投資家の心理が反映されることで相場のランダム性は失われます。テクニカル分析は、その瞬間を狙うための重要な手法といえます。

 ただし、株式投資に限っては、テクニカル分析よりもファンダメンタル分析を重視すべきと考えます。企業への投資でもある有価証券取引では、投資先の企業の業績や展望が、株価に強く関わってきます。たとえ情報収集能力に雲泥の差があるからといって、ファンダメンタル要素を無視していいという道理はありません。

 株式投資をテクニカル分析のみで取り組むのは、不確実かつ危険であると、言及させていただきます。

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