バイナリーオプション規制から見るリスクの詳細と対策、BOの今後について

UPDATE:2022/03/22

 こちらの記事にて、バイナリーオプションのリスクやデメリットについて少し触れました。

バイナリーオプションとは?リスクやデメリットは?FXとは違うの?

バイナリーオプションとは?リスクやデメリットは?FXとは違うの?

 今回はその補足といった立ち位置の内容です。バイナリーオプションのリスクやデメリットをよりしっかりと把握することで、バイナリーオプションがどのような金融商品なのかについて理解を深め、正しい認識で取引に挑めるよう補佐します。

バイナリーオプション規制から見るリスク

 国内のバイナリーオプションは、2013年11月から規制されています。また、2021年現在に至るまでに、世界各国でバイナリーオプションを禁止あるいは規制する動きが広まっています。

 まずはこれらの状況から、バイナリーオプションのリスクについて考えていきましょう。

そもそも規制された理由は?

 そのためにはまず、何故各国でバイナリーオプションが規制、あるいは禁止されているのかを知る必要があります。

 国内のバイナリーオプションについては、

国内と海外でバイナリーオプションはこれだけ違う!

国内と海外でバイナリーオプションはこれだけ違う!

 こちらの記事でも取り上げていますが、改めてもう一度。

 そもそも、オプションは定められた権利行使期限(満期)において、オプション自体が消滅するため、原資産のように顧客が長期にわたって保有するには適していない金融商品であり、さらには、極めて短期間に満期となるオプションを投機的な取引に用いるならば、いわゆる賭博との境目が無くなり、金融商品取引全体の発展に好ましからざる影響を与える可能性があるとの意見も見られるところとなっています。

個人向け店頭バイナリーオプション取引業務取扱規則に係るガイドライン

 この文章を可能な限り分かりやすくまとめると、満期まで短いオプションを投機的に取引することはギャンブルと一緒で、金融商品全体がギャンブルに見られる恐れがあるので禁止するということです。

 投資・投機・ギャンブルの違いはこちらをご覧ください。

バイナリーオプションはギャンブル?投資?投機?

バイナリーオプションはギャンブル?投資?投機?

 他の国々はどうでしょうか。

EUの場合

 まずはEUから。EUの金融規制期間であるESMA(欧州証券市場監督局)は、2018年3月に以下のような発表をしています。

1. Binary Options – a prohibition on the marketing, distribution or sale of binary options to retail investors…

ESMA agrees to prohibit binary options and restrict CFDs to protect retail investors

 この声明では、CFD取引やバイナリーオプションにおいて、投資家に一貫した損失があることを報告している他、透明性の欠如等によって、投資家保護に関して重大な懸念があると結論づけています。

 要するに、損失を被っている割合が大きいバイナリーオプションは、金融商品として問題があるとされたのです。

 この声明の後、EU加盟国は次々とバイナリーオプション禁止を発表しました。2020年2月にEUを離脱したイギリスも、別途声明を発表してバイナリーオプションを恒久的に禁止しています。

カナダの場合

 おそらく、カナダの証券取引を監督するOSC(オンタリオ証券委員会)の声明が、最も強烈な言い方をしています。

The purpose of the Binary Options Rule is to protect would-be investors from becoming victims of binary options fraud and from an illegal promotion of extremely high risk products. We believe the Instrument will achieve this goal by raising awareness among investors that the sale of these products is illegal and by disrupting the distribution of these products, including its facilitation through payment processing and advertising. To this end, the Instrument explicitly prohibits advertising, offering, selling or otherwise trading a binary option with or to an individual.

CSA Multilateral Notice of Multilateral Instrument 91-102 Prohibition of Binary Options and Related Companion Policy | OSC

 この中で、OSCはバイナリーオプションを詐欺と断言すらしています。

 カナダがバイナリーオプション禁止を発表したのは2017年9月と非常に早く、それ以降、バイナリーオプションは詐欺であるというスタンスで一貫しています。

 この詐欺という点は、バイナリーオプションを悪用した詐欺も含むと思われます。

バイナリーオプションを悪用する詐欺事例から詐欺の見分け方を学ぶ

バイナリーオプションを悪用する詐欺事例から詐欺の見分け方を学ぶ

オーストラリアの場合

 ハイロードットコムがかつてオーストラリアを拠点とし、現地の金融ライセンスを所有していたことからも、オーストラリアは近年まではバイナリーオプションに寛容であったと考えられます。

 それが一転、ASIC(オーストラリア証券投資委員会)が2019年8月に声明を発表、状況が変わりました。

ASIC Commissioner Cathie Armour said, ‘For many years ASIC has taken strong action to protect consumers of binary options and CFDs, using the range of regulatory tools available to us. However, we are concerned that consumers continue to suffer significant harm from trading these products.

‘A complete ban would prevent retail clients from losing money trading binary options. We believe binary options provide no meaningful investment or economic use, and have product characteristics similar to gambling products,’ Commissioner Armour said.

19-220MR ASIC proposes ban on the sale of binary options to retail clients, and restrictions on the sale of CFDs | ASIC – Australian Securities and Investments Commission

 バイナリーオプションは経済的に価値はなく、ギャンブル性が非常に高いことからも、消費者は重大な損害を受け続けているとして、バイナリーオプションの禁止を提案。2021年5月に禁止令が発効しました。

ギャンブル性が高いから禁止/規制された

 カナダのスタンスは少々極端ではあるにしても、各国ともおおよそ、バイナリーオプションはギャンブル性が高く、投資家が損失を被っている割合が高いため、禁止措置を取ったことが分かりました。

 日本での規制の理由も、同様のものです。

 このことから、バイナリーオプション最大のリスクは、『ギャンブル化することによる膨大な損失の可能性』と考えられます。

 それでは、ギャンブル化することで、具体的にどう『膨大な損失』につながっていくでしょうか。

無理なエントリー

 規制外の海外バイナリーオプションにおいては、ごく短い時間の間で取引が繰り返されます。そのことで、一度負けても次で取り返せるのではと射幸心が煽られ、根拠のないエントリーを繰り返すことで、気づかぬうちに損失が増えてしまいます。

 バイナリーオプションがギャンブル化することで発生する損失の多くは、この『射幸心を煽られたことによる無理なエントリー』が原因です。

 今回は負けたけど次はきっと――理由なくそう考えてしまった時点で、危険です。

一山当てようとする

 大きく賭けて一発当てて大儲け……ロマンはありますが、現実的といえるでしょうか。

 これもギャンブル化による弊害です。特に負けが込んでいるときには、この欲望が顔を出します。そのエントリーに、テクニカル分析など客観的にも確認できる理論的根拠があるならばともかく、そうでないのに一山当てようとして大きな賭けに出れば、損失が膨らむのは当然です。

リスクを回避するための心得

 ギャンブル化による損失を回避する方法はただ1つです。

 すなわち、バイナリーオプションがギャンブルではないという認識をしっかりと持つこと。そしてそのために、バイナリーオプションに取り組むための下地を、しっかりと構築しましょう。

 その基本は、

バイナリーオプションで稼いでいる人がやっている高効率の取引方法とは

バイナリーオプションで稼いでいる人がやっている高効率の取引方法とは

 こちらの記事で取り上げていますので、ここでは触りだけ取り扱うこととします。

テクニカル分析に対する理解を深める

 まずもってこれです。

 そもそも『テクニカル分析とは何?』という場合、バイナリーオプションに手を出すべきではありません。バイナリーオプションに取り組もうというのなら、テクニカル分析の理解は必須です。

 しっかりと理解するためにはそれなりの勉強量が必要ですし、一朝一夕に知識が手に入るほど単純なものでもありません。ですがその労力に見合うものは得られます。

 特にバイナリーオプションでは、『上がるか下がるか』のみならず、『何分後に上がっているか下がっているか』を読む力も必要となります。

 これは実は非常に難易度が高く、しっかりとテクニカル分析の精度を磨かなければなりません。

常に心を平静に保つ

 仮にテクニカル分析を極めたとしても、為替レートを完璧に予測することは不可能です。特にバイナリーオプションは、テクニカル分析のベースとなった日足よりも短い期間で為替レートを見なければなりませんから、尚更です。

 もし予測を外したとしても、冷静に。腹を立てて無理に損失を取り返そうとせず、いつもどおりを心がけましょう。

資金の流れは把握しておく

 投資や投機を行う上で基本中の基本です。

 これは、取引にいくら使ったかだけの話ではありません。取引に使った資金の捻出元はどこなのかもはっきりさせておきましょう。

 もしその捻出元が、本来は手を付けてはいけない生活費等の場合、資金管理ができていないのと同じことですし、その資金を借金してまで得たものだとしたら、あまりにも馬鹿げています。

 投資や投機は、もし全損しても本来の生活に影響が少ない余剰資金で行うべきもの。生活費の使い込みは元より、借金してまで行うようなものではありません。

そもそもバイナリーオプションに未来はあるのか

 2021年現在、主要7カ国においてバイナリーオプションが金融商品として認められているのは、実はアメリカと日本の2カ国のみです。それ以外のドイツ、イギリス、フランス、イタリア、カナダは、バイナリーオプションを明確に禁止しています。

 そんな状況下で、バイナリーオプションに未来はあるのでしょうか。

 ……こればかりは、なんとも言えません。アメリカが禁止しない限りは日本でも大丈夫なんじゃないかな、なんてなんとなく考えてはいますが、海外業者を使う方が多い状況では、正直日本でバイナリーオプションを認可し続けるメリットがあるとも思えません。

 ただ、2013年の規制以来、日本国内においてバイナリーオプションに関して動きはなく、今すぐどうこうという話は、現時点ではなさそうです。

 とはいえ、将来的には禁止されることもあるかも知れない……という認識は、常にもっておいたほうがいいでしょう。

 ただし、企業所属などのプロトレーダーであっても、バイナリーオプションを活用する機会があります。

 それは、通常の投資行動に対するリスクヘッジを目的としたエントリーです。詳細は下記にまとめましたので、ご参照ください。

バイナリーオプションでFXのリスクヘッジ!その方法やメリット、デメリットは?

バイナリーオプションでFXのリスクヘッジ!その方法やメリット、デメリットは?

 この点を考慮すると、新たなリスクヘッジ方法が現れない限りは、バイナリーオプションが完全に禁止されることは、もしかしたらないかも知れません。

まとめ

  • バイナリーオプションは世界的には禁止される傾向にある
  • 禁止や規制の主要因は『ギャンブルになりやすいから』
  • ギャンブルとしてではなく、あくまで資産運用として取り組むべき
  • いずれ禁止の流れが日本にも訪れるかも?

 バイナリーオプションは賭博ではないという認識は常に頭に入れておくべきです。でなければ、そのエントリーの手軽さから、運に任せた取引を続けてしまい、大きな損失を出してしまいます。

 それこそがバイナリーオプション最大のデメリットにしてリスクですから、この部分はしっかりと自己管理していきましょう。

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